自分から挫折してシフトチェンジしたら、世界が広く見えた
4曲目“Entropy”
──この曲は、「そっとそっとそっと休もう」という歌詞が印象的でした。
アイナ : この曲はBiSHの最後のツアーくらいの時期に書いたんです。当時私、休むことって勇気がいるなと思っていたんです。もし休んだらファンの人は私のことを忘れちゃうんじゃないかと思う反面、でもこれ以上は走れないなとも思っていた時期があって。だからこの歌詞は自分にも言い聞かせるつもりで書きました。
──「休む」ことについて、心情に変化はありましたか?
アイナ : 今は楽観的に考えるようになってきましたね。自分が1、2日休んだところで世界は変わらずに回るよなって(笑)。自分も「アイナ・ジ・エンド」というチームの1人という感覚になってきたんですよ。だから今は、休める環境を作ってもらって、たまに休んでます。

5曲目“ハートにハート”
──武道館で初披露された本楽曲は、何を意識して作りましたか?
アイナ : 私は昔から1人で夜を越えるのが苦手で、21、2歳のときは、夜になると涙が自然に出てくるくらい怖かったんです。そういう怖い夜と向き合ってた時期に、「夜と結婚したら、夜のことをもっと愛せるんじゃないか」と真剣に考えていて、いつか歌にしようと思っていたんです。勇気がいるのでなかなかできなかったんですけど、「今なら書いてもいいかも」と思って、そのワードを入れました。
──歌詞には「立ち向かえ」と力強く鼓舞する一方で、「そっと挫折しちゃおう」という言葉が最後にきます。一見背反するような言葉があるのはなぜでしょうか?
アイナ : 何にでも立ち向かって頑張ってると、自分の心が挫折しちゃう気がするんです。だからそうなる前に、自分から挫折して、違う方にシフトチェンジする方が世界が広く見えたんです。あえて自分に負けるというか、「私やっぱりダメだったじゃん」って落ち込みに行った方が、後々勝てるパワーが蓄えられる気がしています。
6曲目“Love Sick”
──映画『劇場版モノノ怪 唐傘』の主題歌ですね。こちらはTK (凛として時雨)さんがプロデュースです。
アイナ : TKさんはライヴのときは激しいんですけど、普段はすごく穏やかな方なんですよ。この曲はキーがとにかく高いんですけど、TKさんが穏やかすぎて「キー下げたいです」とか言えないんです(笑)。TKさんがあまりにも優しいから、私も頑張りました(笑)。
──武道館で披露した“Love Sick”は、ダンサーさんたちも出てきてすごくかっこよかったです。
アイナ : “Love Sick”は、武道館での目玉になる曲だと思っていたんです。武道館での振り付けは、MASHが元々あったものからリアレンジしてくれました。MASHは元々振り付けだけの予定だったんですけど、途中で「私も出る」とか言い出して(笑)。でも結局MASHが出てくれて良かったと思ってます。ステージの上でも手に負えない化け猫みたいな感じがあって、かっこよかったです。
7曲目“煽り癖と泣き虫”
──この曲には、どのような思いを込めましたか?
アイナ : これはファースト写真集 「幻友」を出したときの写真展のために書きました。親友の興梠真穂というフォトグラファーとの写真展だったので、「友達」をテーマにしました。でも真穂について書いたわけではなくて、「友達」というテーマで書いたんです。歌詞は、自分の心を全て曝け出す必要はないということを伝えたかったんです。いくら友達とはいえ、全部出すとぶつかっちゃったりするじゃないですか。だから自分の窓を「開けすぎない」ということを、自分にも言い聞かせるような曲になりましたね。
