水曜日のカンパネラが、心ときめくポップ・ミュージックをお届けします!──日本武道館公演を経て見つかった、自分たちだからできること

2024年3月16日に開催された〈日本武道館単独公演〜METEOR SHOWER〜〉を大成功に収めた水曜日のカンパネラ。武道館公演を経て新たにリリースされたサードEP『POP DELIVERY』はその名の通り、水カンらしい「ポップさ」と向き合い、それを我々に届けてくれる作品だ。OTOTOYでは、二代目主演の詩羽、サウンド・プロデューサーのケンモチヒデフミ、そしてディレクターのDir.Fの3人に、インタヴューを実施。最新EPの制作背景や聴きどころだけでなく、武道館公演の振り返り、さらには、7月から始まる〈ZEPP TOUR 2024 POP DELIVERY〉や、その先の活動の展望まで率直に語ってもらった。
らしさ全開のポップ・ミュージック集!
INTERVIEW : 水曜日のカンパネラ

水曜日のカンパネラの武道館のライブは、パフォーマンス、歌、音、演出、アイデア... それぞれがめちゃくちゃレベルが高くて、トラブルも含めて筆者が行った武道館ライブでは、NO.1だった。でも、そんな武道館を「たまたま武道館があっただけ!」と語る詩羽さん、ちょっとカッコ良すぎやしませんか? ケンモチさんの楽曲もずっとハイレベルにワクワクさせてくれるし、このグループをプロデュースするDir.Fも凄すぎる。水曜日のカンパネラは、今日本で一番面白いグループだと思います!!!
インタヴュー : 飯田仁一郎
文 : 西田健
撮影 : 大橋祐希
みんな私のセンスを褒めてほしい!
——2024年3月16日に行われた日本武道館ライヴ〈日本武道館単独公演〜METEOR SHOWER〜〉を拝見させていただいたんですが、本当に素晴らしいライヴでした。みなさんにとっては、どういうライヴになりましたか?
〈日本武道館単独公演〜METEOR SHOWER〜〉のレポート
詩羽:自分の最大限のパフォーマンスができました。それはちゃんと練習を重ねてきたからだろうし、ミュージシャンとしていちばん大事なことは歌がちゃんと歌えることだから、しっかり満足いくまで努力できたのはよかったですね。
——ライヴ中もすごく楽しそうに見えたのが印象的でした。
詩羽:最初から失敗する想像はしていなかったですね。やり切ったらそれが成功だと思いますし。武道館はみんなにとって大事な会場だからこそ1つの区切りだとは思うんです。でも私は武道館に重きを置いてなかったんです。いつも通りのライヴをみんなと作り上げようという想いでした。通ってきた道にたまたま武道館があっただけで、これからも進んでいく道に、いろんなライヴや会場があるんだと思います。どんな会場でも目の前のライヴを楽しむしかないんだなと、武道館公演をしてみて改めて感じました。
ケンモチ:僕としてもまずは楽しかったですね。MCやパフォーマンスでも、みんなが詩羽を見守っている感じがしたんですよ。あれだけ大きい規模だと「戦いにいくぞ」という思いが出てくるんですが、どこか授業参観みたいな構図になっていた気がしていて。それがおもしろかったですね。
——武道館公演は音がめちゃくちゃ良かったです。音響面においてケンモチさんが工夫したことはありますか?
ケンモチ:音響チームの方々とも相談して、良い機材を揃えていきました。もちろん武道館が音響的にやりやすい会場かって言ったらそんなことはなかったので、細かく打ち合わせをしながら音を作っていって、我々も満足のいく音を作れたと思いますね。

——Dir.Fさんは武道館公演を振り返ってみてどう感じていますか?
Dir.F:コムアイ時代にやった前回の武道館公演はどちらかというと、「見せてやるぞ!」というショーだったんですけど、今回は詩羽の掛け合いやMCも含めて、お客さんと温かい空間を作れたと思います。実はコムさんも武道館に遊びにきてくれたんです。終わった後に感想もくれました。武道館公演を経たことで、また新しいカンパネラになれたと思います。
——最後に歌った“招き猫”で登場した大きな招き猫が1つ消えちゃったりと、ハプニングもありましたよね(笑)。
詩羽:めっちゃウケる! って思いました(笑)。ハプニングも起こりうる上でいかに自分が楽しんで、お客さんを楽しませるかが大事だと思うんですよ。何が起こるのかわからないところも水カンっぽいですよね。
Dir.F:招き猫以外にも仕込んでいた演出が、実はリハでは全然成功してなかったんですよ。でもそのおかげで本番に向けてボルテージをあげていけたのかなと。
詩羽:本番は各所うまくいっていたと思うし、結果オーライです。あと今回初めて演出に対して私が希望を伝えたんです。特に最初の“アリス”の演出もうまくいったので、やりたいことがちゃんと伝わったのを実感しました。
——なぜ今回の武道館公演では、演出に対して希望を出したんですか?
詩羽:いつも以上にできることがあったし、今回360°のステージだったじゃないですか。だから実際にそこに立つ人からじゃないとわからないこともあって、色々打ち合わせをしました。でも私だけじゃなくて、いろんな人の意見が反映されています。今までお世話になってきたMV監督の方の演出と、ステージから見た私の意見を踏まえて、みんなで調整していきました。

——そして6月5日には、サードEP『POP DELIVERY』がリリースされます。今作はどういったテーマで制作を進めていったんですか?
Dir.F:制作をはじめたときは、そこまでテーマを決めていなかったんですよ。でも詩羽が『POP DELIVERY』というタイトルをつけてくれたことで、全体的なテーマがグッとまとまった感じですね。
ケンモチ:タイトルをつける前は、なんだか曲同士がバラバラだったよね。
詩羽:バラバラでしたね。それぞれにテーマがある曲をまとめた作品だったので、EP全体のテーマをどうするかずっと考えていました。そんななかで浮かんだタイトルが、思ったよりもまとまりを生んだ感じがします。
——たしかにめちゃくちゃいいタイトルですね。タイトルにはどういう思いを込めたんですか?
詩羽:武道館を経てこれからも変わらずポップなものを届けていきたいという想いを込めて、『POP DELIVERY』という名前にしました。マジでネーミングセンスあるなと自分でも思います(笑)。みんな私のセンスを褒めてほしい!
——ファンの方はぜひ褒めてください(笑)。「ポップ」という言葉は、その解釈が人によって大きく分かれると思うんですけど、詩羽さんが思う「ポップ」とは何ですか?
詩羽:自分が「可愛いな」ってときめくことができるものが「ポップ」だと思います。
——ケンモチさんは「ポップ」についてどいう印象ですか?
ケンモチ:「可愛い」は一回置いといて(笑)、「ときめき」という要素は近いなと。大衆向けな音楽であってもディープな音楽であっても、僕が良いなと思うのはどこかしらにキャッチーな柱が1本通っているものなんです。そこに「ときめき」があるのかなと思います。聴いていてピンとくるような音楽を、「ポップ」として今回のEPで表現してみました。
