ポップ・サイドとダーク・サイドの歌い分けはお願いしました
——今回のジャケットも詩羽さんがディレクションしたんですか?
詩羽:そうですね。これはCGアーティストのYUKARIさんが作ってくださったんですけど、3DCGが今の時代に合っているなと思ったんです。私自身が好きなのもありますし、最先端の技術なのでとり入れたいと考えていました。タイトルのイメージから配達員のスタイリングにしてみたり、「ポップ」をもっと撒き散らすみたいな意味を込めて水鉄砲を持ったりしています。
——これからは1曲ずつ訊いていきたいと思います。武道館公演で聴いた“たまものまえ”は衝撃でした。
詩羽:わざとらしくかわいこぶって歌った部分が多くて。新しい歌い方を試せて、EPのなかでもかなり好きですね。サウンド的にもかわいいのでときめきが多いです。
ケンモチ:実はこの曲を書いたのは1年前くらいだったんですよ。Amazon Originalドラマ「僕の愛しい妖怪ガールフレンド」の主題歌だったんですけど、いろんな設定が乗っているユニークなドラマだったので、曲も展開がコロコロ変わるように意識して作りました。
——楽曲自体もかなり思い切った展開で驚きました。
ケンモチ:歌詞を乗っけてドロップ・パートを作るとあまりビートが転がらないと思ったんですよ。そこでキツネが鳴いているかのような「コーンコッコ、コーンコッコ」というボイスパーカッションのような歌詞にして、ビートと声をなじませたりしました。
——なるほど〜。EPの1曲目の“赤猫”(TVアニメ「ラーメン赤猫」主題歌)はどういう曲に仕上がりましたか?
ケンモチ:『ラーメン赤猫』の漫画のファンの方々が『招き猫』を聞いてくれていたらしく「もしアニメ化されるんだったら、主題歌はカンパネラさんにお願いしてほしいです」って言ってくれていたらしくて、実際にお話をいただくことになりました。「ラーメン赤猫」に訪れるお客さんは皆、癒しを求めているのではないかと思ったので、楽曲にもそのほっこり感を落とし込みました。
——サウンド的にはどういうものをイメージしたんですか?
ケンモチ:EDMポップみたいな感じですね。でも “エジソン”くらいのBPMだと遅いからテンポは少し速くしつつも、言葉とメロディーの心地よさを損なわないように意識しました。
——詩羽さんは『ラーメン赤猫』をご覧になられたんですか?
詩羽:元々知ってました。マンガも好きだし猫も好きなので、猫のマンガをよく読むんですよ。だからお話がきたときは嬉しかったですね。
——猫が好きなの?
詩羽:めちゃくちゃ好きです! 自分の曲で猫の歌が増えるのは嬉しいし、猫の社会に貢献できたらいいなと思いますね。私が猫好きだってことが、もっと社会に広まればいいなと思っています。

——2曲目の“キャロライナ”はゲストが参加しているのかと思うくらい、詩羽さんの歌い方がバラエティに富んでいます。
詩羽:この曲は、はじめは可愛いんですけど、ラップが始まったらクールな感じなんですよ。サビは歌唱モードに変えたりと、キャラをコロコロ変えるので、歌っていて楽しいです。
——ケンモチさんが歌い方をディレクションしたんですか?
ケンモチ:ポップ・サイドとダーク・サイドの歌い分けはお願いしましたね。以前“織姫”でも演じ分けはしていたんですけど、ラップ・パートだけ声を歪ませたりして、ミックスでも色をつけています。
——“キャロライナ”は歌詞も不思議ですが、ストーリーはどのように作っていったんですか?
ケンモチ:これはフジテレビの番組(「明日フェス~明日までに新曲つくってくださいってお願いしたら曲が良すぎたのでフェスにしちゃいます~」)で、24時間以内に曲を作る企画があって、そこでできた曲ですね。僕が辛い唐辛子を買って、インスピレーションをもらったんです。そうしたら詩羽からストロベリーのクレープを食べている絵が送られてきたんです。そこで最初はかわいいアイドルを目指していたストロベリーがダークサイドに落ちて、唐辛子のなかでも一番辛いキャロライナリーパーという品種になっていく、というストーリーを思いつきました。
——なるほど(笑)。サウンド面でのこだわりはありますか?
ケンモチ:「ジャージードリル」というジャージー・クラブとドリルを混ぜたようなサウンドを取り入れつつ、サビは4つ打ちで勢いをつけました。この曲はライヴでもこれからも化けそうだなと思います。
