WEARE! 活動休止から2年のときを経てーー板垣周平による新バンドperfectlifeが1stアルバムを先行配信&インタヴュー

大名盤『のらくら』のリリースをもって活動休止したWEARE!。あれから2年。同バンドの中心人物、板垣周平が、新バンド、perfectlifeを結成、1stアルバム『マラディーズ』を完成させた。キーボードが加わり、女性コーラスがほぼ全編に渡って参加するなど、WEARE!とは一味違うサウンドに仕上がりながら、変わらずポップかつシニカルな板垣節が冴え渡る作品となっている。本作のリリースを待ちきれないOTOTOYでは1週間先行で配信スタート!! そして、より多くの人に届いてほしいという思いから、1曲フリー・ダウンロードでお送りする。さらに板垣にミュージシャンとしても深いシンパシーを覚える飯田仁一郎(Limited Express(has gone?) / OTOTOY編集長)がインタヴューを決行!! perfectlifeというバンドのはじまりを心より祝福したい。
>>「スプリングハズカム」のフリー・ダウンロードはこちらから
待望の1stアルバムを1週間先行配信
perfectlife / マラディーズ
【配信価格】
ALAC、FLAC、WAV まとめ価格のみ 1,800円
mp3 まとめ価格のみ 1,500円
【Track List】
1. スプリングハズカム
2. パスミーバイ
3. おためごかし
4. 分身
5. トランスフォーマー(サウザンドタイム)
6. マラディーズ
7. 八月の光
8. ないものねだり
9. セブンティーン
10. 牡牛座
INTERVIEW : 板垣周平(perfectlife)
昔、バンドの先輩に、「バンドは一回解散してからやで」と言われたことがある。高校から同メンバーだったWEARE!の活動休止は、板垣周平の望むところではなかったと聞いている。だからこそ、perfectlifeに期待している。強靭な彼の新しいサウンドを。
インタヴュー&文 : 飯田仁一郎
バンドの青春が一つ終わった感じというか
ーー今作を自主制作でやることに決めたのには、なにか強い思いがあったんですか?
板垣周平(以下、板垣) : 前のバンドからずっと忘れないで待っていてくれた人たちに、野菜の直売みたいな感じで直接渡したいっていう気持ちが、多分心のどっかにあったんでしょうね。もちろん多くの人に聴いてもらいたいって気持ちも同時にありますけど。
ーー結構ペースとしては早いですよね。新しいバンドで2年って、レコーディングのことも考えたら、制作期間はほぼ1年でしょ? 周平君的にはWEARE!からperfectlifeっていうのはどんな変化だったんですか?
板垣 : どういう変化だったんだろうなぁ… 変な話、流れに身を任せたじゃないですけど… 自分でもちろん動いてるけど、やろうよみたいな声に乗っかっていって、なんとか自分の中で今のバンドの原型みたいなものが見え始めたかなってところですね。

ーーっていうことは、意図的にWEARE! からperfectlifeでこういうことをやろうみたいな思いはなかった?
板垣 : そうですね。バンド・サウンドをもう少し追求したかったので、そこまで変わらなかったというか、変えられなかったというか。今回はメンバーみんなが共有している着地点に自分も乗っかってみたというか、あまりコントロールしないでいこうと思って。なんとなく自分が納得いってない部分があっても、メンバーの空気みたいなものが熟成されていたら、とりあえず完成でいいかなみたいな。それをライヴでやってみようよっていう感じはありましたね。
ーーじゃあ、よりバンドっぽくなった感じなんですね。
板垣 : 前のバンドは高校からずっと同じメンバーでやってきた流れがあったから、バンドの青春が一つ終わった感じというか。いまのメンバーはバンドをやるために集まってる人たちなんで、そういう意味じゃ確かにバンドっぽくなってるのかもしれないですね(笑)。
ーー悪い意味とかではなくて、青春感が減ったなとは確かに思うんですよ。そのかわり、なにが増えたと思いますか?
板垣 : なにが増えたんですかね。自分のルーツとかメンバーのルーツみたいなものが、よりサウンドのバックには出てきてるのかな。人間性みたいなのが。あとソング・ライティングや歌詞のバラエティが、前のバンドよりはあるのかなって。
ーーメンバーはどうやって集めていったんですか?
板垣 : ギターの(村上)達くんとは、WEARE! の頃からずっと一緒で。ギターとかアンプなどの機材を買っちゃったんで「やろうよ」っていう現実的な流れです(笑)。竹田(和永)(sine、ex Limited Express (has gone?))さんは、WEARE! の頃から毎回ライヴを見に来てくれていて、なんとなくやってみようって話になって。まず3人でやってみたんです。
ーーベースは?
板垣 : ベースは小津(直樹)くんっていう若い子なんですけど、毎回ウチらのライヴに来てくれていたので顔を覚えていて。急にボンと引っこ抜いてくる感じが自分は好きだったので、知り合い伝手で連絡して。当時まだ大学生だったんですけど、いきなり電話をしたから向こうもビックリしてて(笑)。で、スタジオに入ったら、上手いし、フレーズも考えてきてくれて、「これはいいな」と思って。それでベースが固まってから、イケるかなと思いはじめたんです。あと、どうせなら新しい要素がほしいなと思って、高校のころから付き合いのある伸さん(鈴木伸明)にキーボードをお願いして。WEARE! の最後のアルバム『のらくら』でも何曲か弾いてもらっていたんで、その流れもあってやってもらうことになって。それで固定っていう感じですね。
「なにをほざいてんだコイツ」みたいなニュアンスを出したかった
ーーWEARE!は音からストイックさが伝わってくるなって思ってたんですけど、perfectlifeはまたちょっと雰囲気が違いますよね。
板垣 : そうですね。WEARE! は、週2回スタジオに入って練習していたり、かなりストイックでしたね。いまは、自分たちの中で感動というか、ちょっと引っ掛かりみたいなのがあればいいかなと思っていて。細かい所をギチギチに詰めると、聴き手がふっと心を開く部分や、とっかかりみたいなのが、逆になくなっちゃうんじゃないかって気もしていて。昔はコンセプト・アルバムというか、作り込んである音楽がすごく好きだったんですけど、いまはゆるい弾き語りとか、なんとなく作ったホーム・レコーディングみたいな曲も好きで聴くようになってきたし。バンドのバシンとした部分と、人間のふわふわした部分というか、そういう空気みたいなものが共存しているのが一番おもしろいかなと考えたりもしていましたね。だから、アレンジも半分は意図的だけど、そこまで詰めないというか。歌詞にしても、いわゆるパンチラインで押して行くんじゃなくて、全体の楽曲というか、聴いてる人たちが好きに解釈して、その歌詞に描かれた場所の中で勝手に漂ってもらいたい気持ちはありましたね。メッセージをぶつけるっていうよりは。
ーー音録りに関しても納得するまでできたわけですね。
板垣 : エンジニアの人とは付き合いが長いんで、そこら辺は時間をかけて納得いくまでできたかなと。やっぱ自主なんで、お金もうるさく言われないっていうか、自分たちが覚悟さえすれば、採算度外視でやれますからね(笑)。
ーー(笑)。普通に考えたらそうなりますよね。採算度外視でもやりたかったことってどんなことなんですか?
板垣 : なんですかね。時間をかけて、お金をかけて、いろんな人が関わってという方が、いい音源になると思っていたから。弾き語りとかだったら、奇跡みたいな音をパッケージできればいいと思うんですけど、バンドはそれだけじゃいけないよなっていうのがあって… プレイヤーとしてよりも、音楽ファンとしてそういう気持ちが強いのかもしれないですね。もっといい音で録れていれば、もっといい音源になったのになあとかって思うものもあったりするし。自分たちで振り返ったときに、こだわっておいてよかったな、みたいなものにしたかったんです。だって、今はずっとネット上とかに音源が亡霊のように残っていくものじゃないですか。興味を持った人が調べればすぐ聴けるっていう状況で、そこでどんなに音質が劣化したとしても、元がいい音で録れてれば絶対その空気感みたいなのは伝わると思ってるんですよ。いろんな手段で音楽が聴かれるようになった時代だからこそ、ちゃんとした環境で、ちゃんとしたレコーディングをするのが一番重要なんじゃないかなって気がしているんですよね。Protoolsで自分たちでも録れるようになったからこそ、そういうところがものすごく重要になってくるような。妄想かもしれないですけど、そういう気持ちを抱いてるから、自分のバンドでは借金背負っても、売れなかろうでもやるっていう(笑)。

ーー(笑)。今作を作ったことで、perfectlifeがやりたいことっていうのは見えてきました?
板垣 : いや、見えてきてないですね、全然。
ーーファーストを作っても? どんなことをやりたいっていう明確なものはありますか?
板垣 : 明確なヴィジョンではないのですが、将来的にはもっとメンバーを増やして、作曲はするけど自分のコントロールが行き届かなくしたいっていうのもやってみたくて。スタジオ代とか、そういう経費を無視してやれるのであれば(笑)。それこそ10人ぐらいのメンバーで、曲は作るけど、全然コントロールできない。混沌の中になんとなくいて、歌も他の人が歌うっていうのがやりたいことの一つですね。最上級の例えでいえばレッド・クレイヨラみたいな。
ーーperfectlifeっていう名前自体には思い入れはあるんですか。
板垣 : えーっと、これもなんかあまのじゃくというか。前のバンドが期せずして止まったっていうところがあったんで、あえてこういうバンド名でまた始めたらカッコいいんじゃないかなみたいな(笑)。そういう「なにをほざいてんだコイツ」みたいなニュアンスを出したかったかもしれないですね。あと意外とシニカルな意味があって「完璧な生活なんかないんだけどね~」みたいなニュアンスで使うことも多いってこと知り合いから聞いて「ああそれはいいなあ」って。ちょっとしたバカっぽさと、シニカルっぽさが両方あったほうがいいかなと。
ーーあと、場所感もあって、いい名前だなと思ったんだよね。
板垣 : あー。ちょっと島っぽいというか。無人島的な。
今回でCDっていうフォーマットは最後になるかなと思っていて
ーーbloodthirsty butchersの吉村さんが亡くなったり、dOPPOが解散したり、一緒にやってきた人や憧れの先輩等、まわりの状況が変化していく中で、板垣君に使命感等はあったりしますか。
板垣 : うーん。ここ2,3年で自分を取り巻く環境が劇的に変わったけれど、自分は音楽を一生続けていきたいなっていう気持ちはあって。それだったら、まず自分が飽きないようにするのと、最低限の運営資金を確保するのと、あと時々刺激のある現場に出て鼓舞してもらうみたいのが一番いいのかなと思って。あといろんな人と音楽を通じて出会っていきたい気持ちがあって。悲しいことが続いても、新しい人と音楽を通じて出会っていきたいなと思って。やっぱり、そういう気持ちが一番強かったんですよね。自分が腐らずに、音楽を通じて人と出会い続けるためにはどうしよう、って日々考えながらやっています。だからいまは、このperfectlifeっていうバンドを中心にそれを考えているんです。perfectlifeっていうメガネを通じて、音楽の世界を見てるっていう。
ーー今後のperfectlifeのビジョンは、どういうものを描いていますか。
板垣 : perfectlifeとしては、今回でCDっていうフォーマットは最後になるかなと思っていて。もしかしたら、今後はもっと意図的に狭めていくというか。情報だったり、聴く人たちを、狭めていきたいっていう思いが、なんとなくあって(笑)。
ーーへー。たくさんの人に聴いてもらいたいってわけじゃないってことですか。
板垣 : 聴いてもらいたいんですけど、やり方としては、もしかしたら狭めていったほうがいいのかなって気もしてるんですよ。例えば、レコードしかリリースしないとか、ライヴの手売りでしか手に入らないとか。で、ある程度資金が回収できたら、フリー・ダウンロードできるようにする。いつでも全国誰でも聴けるようにしちゃうようなやり方のほうがもしかしたら、いい内容であれば、みんなが口コミ的に広げてくれるんじゃないかという淡い期待感もあって(笑)。そういうのも考えていて、どうしたらいいのかな? みたいな。売り方も常に考えてます。
ーーなるほどね。
板垣 : もっと極端にレコードと配信みたいな感じで分けた方が、自分の中ですっきりするのかなって。自分はCD世代だし、まだちゃんとCDプレイヤーで聴いたりするんですけど、多くの人は1回取り込んでもうパソコンで聴くんだろうなあと思って。だったら、ジャケットとかトータルのインパクトとしても、レコードで切った方がやっぱり人の脳裏にこびりつくと思うし。

ーーそうですよね。CDもなくならないとは思うんですよ。LPもなくなっていないし。でもどんどん変わっていくと思う。音楽的にはどういうビジョンを描いていますか?
板垣 : 音楽的にはそうですね。とりあえず次作はもっと絞った方向に行くのか、バラエティ豊かな方向に行くのかのどちらかかなと思ってますね。今回の1stアルバムの反応を見て、あまりにも評判のいい曲が偏ってたら、もっと狭めていくと思いますし(笑)。聞いてくれた方の反応に沿っていきたいと思ってます(笑)。
ーー日々の生活に関してはどうですか。やっぱりちょっと変わってきていますか。
板垣 : そうですね、今のところは比較的おだやかな、仕事もバンドも自分である程度はコントロールできてるかなっていう状況です。まあ、このバンドもいままでの繋がりで甘えてやってきてるだけなので、自分の中ではバンドに命をかけてるっていうよりは、音楽とかその現象の中にいるんだなって多少冷静に見れてる感じはありますね。音楽をやってる自分、みたいな。バンドをやってる俺を見てる、みたいな。たまたま今がそういう時期でまたワーッと入り込むのか、今はまだ分からないですけど。今後どうなっていくかは、今作を出してからかなって気はしていますね。
RECOMMEND
WEARE! / のらくら
2012年3月17日の下北沢シェルターのライヴをもって活動休止に入ったWEARE! の活動休止前の最後のアルバム 。これまで以上に深化した歌世界と立体的なバンド・サウンドが、不安定な距離感で交錯する全9曲。10年間の集大成ともいえる3rdアルバム。
Limited Express (has gone?) / JUST IMAGE (24bit/48kHz)
結成から間もなく15年目を迎えるLimited Express(has gone?)が「遂に出来た!」と語る、バンド史上最も心血を注いだ最新作にして最高傑作。いち早く何でも“自分達で作ろう”を実践してきた彼らが、2013年、何でも“自分達で作ろう”の波が次第に大きくなりつつある現代にさらなる自由を解放するニュー・アルバム、タイトルは『JUST IMAGE』。オルタナティヴ・パンクを世界レベルで引率するLessThanTVからのリリース。
Discharming Man / フォーク
元キウイロールのフロントマン、蝦名啓太のソロ・ユニット、待望のセカンド・アルバム!! 前作を大きく上回る激情度溢れる、ポスト・ロック・サウンドがグッと心にしみわたる、感動の大傑作!!
LIVE INFORMATION
2014年5月24日(土)@愛知県 名古屋HUCK FINN
2014年5月27日(火)@東京都 新代田FEVER
2014年6月8日(日)@東京都 小岩BUSH BASH
2014年6月14日(土)@長野県 India Live The Sky
2014年7月19日(土)@京都府 UrBANGUILD
2014年7月20日(日)@静岡県 Freaky Show
2014年9月13日(土)@北海道 札幌SOUND CRUE
PROFILE
perfectlife
板垣周平(Vocal , Guitar)
村上達(Guitar)
小津直樹(Bass)
竹田和永(Drums)
鈴木伸明(Keyboard)