不安もあるんですけど、この企画をファンの人に楽しんでほしい
──ちなみにPIGGSの制作チームのみなさんは今回の話をどう捉えているのでしょうか。
プー・ルイ : もちろん自分たちがレベルアップしないといけないというのはみんなすごく感じていて。けど、内心気持ちよくはないと思います(笑)。人間なので。それでもPIGGSがよくなるのであれば、俺じゃない人がいいとなるのであれば、自分の実力が足りないことだから、ということは言ってくれてます。逆に燃えてますね。もちろん負けることは考えてないけど、よくふざけて言っているのが、(もし負けたら)リベンジしようねっていう話で。
──一回の企画で今生の別れになるわけではない。
プー・ルイ : 私はそれができるのがアイドルの面白さだと思っているので。この企画はアイドルだからできると思うんですよね。プレイヤーとしての感情で言うと、メジャーデビューで制作チームを変えた人間が「PIGGS-モナ・リザ-」で“灰になって それでも!”と歌うのはすげー薄いなって思っちゃうんですよ。お前がよければいいのかよって。いままで意味のあることを歌ってきたのに、そこドライなんだって思っちゃう。社長業だけだったらそんなことないと思うんですけど、自分が伝えてきたのは仲間を大事に、一緒に行こうということなので、それが似合わない人にはなりたくないです。
──最初に言っていた、仲間に不義理をしたくないということですよね。
プー・ルイ : 言ってることが矛盾しちゃうかもしれないですけどね。でも、みんな企画自体は面白がってくれているので。これをやってよくなるのか悪くなるのか、ファンが分裂していなくなってしまうのか……本当にわからん(笑)。企画をやるのがこわいなと思う時期もあったんですけどね。いままで結構失敗してるので。
ブタ山 : 僕のなかでの失敗は、なにも起きないこと。いまのファンのかたが、僕の作るものに対していいとかめっちゃよくないとか色んな意見が出るのはいいと思っていて。最高だと思って出すものを否定されたらめちゃくちゃイヤなんですけどね(笑)。でも、この人たちなにやってんの、という無風が一番イヤなんですよ。無風になるんだったらディスってくれよと。
プー・ルイ : こういう方なんです。
──むしろ考えかたも近い気がします。
プー・ルイ : インディーズ作品だってブタ山さんの意見も入ってますし、私はメジャーのほうには一切関わってませんということでもないので、本当に好きなほうを好きと言ってほしいし、嫌いなものを嫌いと言うのは悪いことじゃない。「死ね」はダメですよ? ネットのルールとしてダメなので。
ブタ山 : 不安もあるんですけど、この企画をファンの人に楽しんでほしいですね。

──ブタ山さんにうかがいたいのですが、メジャーにしかできないことはどんなことだと思いますか?
ブタ山 : ひとつ懸念があるのは、僕は色んなレーベルの人たちの許可を得て代表としてここに来ているわけではないので、もしメジャーが負けたときに、その人たちに迷惑かけたくないなとは思っています(笑)。その上で話しますが、僕個人としてはメジャーとインディーズの垣根ってほぼないと思っていて。メジャーレーベル内で経験してきたことを活かしたり、人脈や関係性を活かしたり、宣伝をできたりするのは強みだと思っています。今回のリリースはメジャーの流通を使うわけではないので、メジャーの宣伝部、全国の営業所を一気に動かすということでもないんですが。ただ、制作の予算面は違いはあるのかもしれないです。
プー・ルイ : 衣装の予算はわかりやすくて。普段の3倍かかってます(笑)。私たちは楽曲制作費も普段は全然かけてなくて、そんな金額じゃ受けないという価格でやってもらっているんですよね。
ブタ山 : そこは根本で違う部分があると思います。僕の場合は、このグループでこういう曲を作ったらいいな、この魅力を出せるんだったらこのお金を出そう、という考えかただと思うんです。安く作ろうというのはもちろん大事。でも、そこを第一にしてないところはあるかもしれない。いいものを多くのかたに届けたいと思うなかで、このお金がかかるんだったら出そう、という。
プー・ルイ : こっちは出したいけど出せない。
──このくらいイベントをやるとこのくらいの売り上げが見込めるからこの予算内でやろう、という考えかたになりますよね。
プー・ルイ : プープーランドは小さいから失敗したら丸ごとなくなっちゃうので。それは大きな違いだと思います。クオリティを上げるために、かけるべきお金をかけられるのがメジャーで、現状の私たちはかけられないです。できる範囲で頑張るというスタンスです。
ブタ山 : 安いスタジオでいいものを作るっていうのは同じ考えなんですよ。それが本当に広がっていってるかどうかが大事な気がします。
──メジャーの本領発揮するのは宣伝を使うときだったりもしますが、今回は純粋に制作するものでの対決になりますよね。
プー・ルイ : 未来を見据えて話すなら、もちろんそういうところに魅力を感じています。(メジャーの宣伝は)全然違うから行きたいし、PIGGSはそこが頭打ちだし、不穏な空気も感じていて。
──そうなんですか。
プー・ルイ : 感覚的なものなんですけど、このままだとまずいなと。ここでなにかを巻き起こしていかないとダメな時期だなというのは最近考えていて。この企画が本当に正しいのかわからないですけど、なにもやらないよりは波風立てたほうがいいと思うので。いまのPIGGSは横ばいの時期に入っちゃったな、というのはすごく感じていました。
──プー・ルイさんは刺激中毒ですからね。
プー・ルイ : でも、それもよくないんですよね(笑)。最近、自分のやってきたことにクエスチョンが出てきたんです。時代が変わったなって思う。バラエティとか見てても、前のキャラじゃいけないなって。いまのPIGGSが頭打ちだからロキノンバンドと対バンしようとか、そういうことでもないと思うし。新しい時代が始まる感覚があって、それがすごくこわいんです。だから今日も、VSの企画なのに、柔軟な受け答えをしちゃってるかもしれない(笑)。
──最後に意気込みを聞かせてください。
ブタ山 : めちゃくちゃいいものを作ります。いままでの流れのなかの、アイドルはこういうものだ、PIGGSはこういうものだ、みたいなことではなく、こういうよさがあるんだ、というのが見せられれば。あとは出られるところがちょっと増えたとか、そういうことも狙って、ひとりでも多くファンを増やしたいです。
プー・ルイ : 私はプレイヤーとしては両方とも全力でやりますけど、ここはインディーズ側として話しますね。やってきた2年間はムダじゃないと思っているので、チームの結束をブタ山さんに見せつけて、PIGGSは全体でPIGGSなんだと思わせなきゃいけない。いちばんは「PIGGS-モナ・リザ-」が似合う女でありたいので、このチームを守りたい。負けないぞ、という気持ちです。社長として話すと、それは感情論だからビジネスとして正解かはわからない(笑)。言いたいのは、今回の企画はファン投票なので数字が出ちゃうんですけど、どちらが楽しかったかが重要だと思うんです。発表からリリース終わりまで、どれだけファンの人の心が動いたかが大事なことだと思ってます。楽しんでもらえたらいいな。