「大切な人をより大切にしよう」って改めて感じました
──なるほど。4月にやった学生限定ライヴ〈BiS の学園天国〉はどうでしたか?
ネオ : 学生限定は、ほんとに中高生だけでした。
──えー! そうなんですか。
ネオ : ライヴに来ること自体がはじめてみたいな子もたくさんいて。私は学生時代ライヴハウスにBiSHさんを観に行ったことがあるんですけど、圧迫されすぎて窒息しそうになったのがトラウマで(笑)。そういう人もいると思うんですよね。「どうやって観ればいいんだろう、振りコピとかどうすればいいんだろう」みたいな緊張感が伝わってきたんですけど、もっと寄り添ってあげたかったなって。MCでも、リラックスできる空気を作ってあげることができなくて。そこも反省してます。でも“thousand crickets”のスクワットは過去イチの一体感でした(笑)。
──なんでだろう? 若いからかな(笑)。
ネオ : みんなすごく深くまでやっていて笑っちゃって。そんなにやってくれるの!? って(笑)。こういう違いがあるんだなと。

──女性限定ライヴ〈BiS の KiSS ME ONLY THE GiRLS〉はどうでした?
ネオ : いまの状況もあってみんなとすごく目が合うし、すごく見てくれるんですよ。楽しんでくれているのがすごく伝わってきましたね。いい意味でリラックスしていました。でも全力でできて、すごく楽しかったです。
──5月に予定していた〈ARABAKI ROCK FEST.〉(以下、ARABAKI)の中止は残念でしたね。
ネオ : 本当に悲しかったです。必ずできるって信じていたんですけど、中止って聞いたときは正直泣いてしまいました…。悔しい気持ちはそのときすごくあったんですけど、この状況なので、しかたのない判断なのかなと思います。もし次の機会があったときには、いまよりもっとパワーアップしたものを見せたいです。
──ARABAKIのバンド・メンバーはギターにヒダカトオルさん(THE STARBEMS)、ベースが津田紀昭さん(KEMURI / THE REDEMPTION)、ドラムはRONZIさん(BRAHMAN / OAU)とかなり豪華でしたが、3人の印象はどうでした?
ネオ : 津田さんはめちゃくちゃ優しかったですね。いつも遠くからニコニコ見守ってくれてます(笑)。ヒダカさんはめっちゃ喋ってくれるんですよ(笑)。いつも場を盛り上げてくださって、みんなずっと笑っていますね。RONZIさんはお父さんみたいですね。〈THINK of MICHINOKU〉のときもRONZIさんが「挨拶行く? 」って私たちを引き連れて、サンボマスターさんとか、BRAHMANのTOSHI-LOWさんとかにも挨拶させていただいて。ティ部がthe pillowsさんをすごく好きだったのもあって、RONZIさんが「話そうよ」ってコミュニケーションをとってくださって、山中さわおさんと写真撮ったり。本当にお父さんでした(笑)。

──そして、5月26日には歌がめちゃくちゃ難しいと嘆いていた『TOUCH ME』がリリースされますね。
ネオ : 曲自体は2020年の3月にあったので、1年くらいかかりました。
──ピンボーカルになる部分、いいですね。
ネオ : “TOUCH ME”では研究員のことをすごく思い浮かべています。作詞も渡辺さんと松隈さんが共同で作ってくれたんですけど、研究員と私たちBiSとのつながりを本当に大事にしてくれて。その気持ちがこの曲には特に詰まっているなって思います。あの部分にはオケがないけど、さらに気持ちを伝えられたらいいなと思って毎回歌っていますね。
──歌詞もすごくいいですよね。
ネオ : “TOUCH ME”は聴く人によって思い浮かべる人が変わると思うんですよね。MVのコメントや、曲を聴いてくれた人たちの声のなかで、「この曲をきっかけに両親としっかり話してみようと思いました」という人もたくさんいて、この曲をそういう風に感じてもらえたことがすごく嬉しかった。自分も、これまで両親に愛されていたことを忘れかけていたので、そういうことを思い返して、「大切な人をより大切にしよう」って改めて感じました。過去は戻せないし事実は変わらないけど、後悔とかいろいろあるなかで、過去に対する気持ちがこの曲で変わる。この曲を聴いて、「もっとこうしよう、こういうふうに生きよう」って思えたら、それがまた未来に繋がっていくから、未来と現在と過去すべてを繋いでくれる曲だなって思いました。
──MVはだいぶ赤裸々でしたね。
ネオ : 最初は全員の幼少期を使う予定だったんですよ。けど、私の幼少期の記録が膨大すぎて(笑)。ほか3人分の映像を足しても残っていた私の映像に満たなかったんです。だったらネオのだけ使うか、みたいな(笑)。でもみんなの見たかったなーっていうのはあります。
──途中の涙も印象的でした。
ネオ : あのシーンは、撮影では実際に歌いながら何回も撮っていたんです。毎回、みんな泣きたいけど泣くのを我慢してたんですよ。そのときに山田健人監督が「じゃあ次、ラスト泣いちゃっていいよ」みたいな感じで言ってくれて、私はそれですごい気持ちが楽になって、思いっきり気持ち込めて歌おうと思ったら、もうボロボロ泣いちゃいました(笑)。
──あれはリアルな涙なんだ。
ネオ : 過去にBiSの中であった失敗とか、私たちが後悔してきたことがどんどん思い浮かんできて、「もう戻せない、戻らないんだな、でも前向きたい、前向かなきゃ」って気持ちが強くなってきて泣いちゃいました。
──もともと名曲だったけど、リリースされることでより一層それが強まりますね。あと、ティ部さんがいいですね。
ネオ : ティ部のパートはキーがすごく高いんですよ。ティ部は「最初、レコーディングは裏声で挑戦しようかなって思ってたけど、実際にいろんな人のことを思い浮かべて、気持ちを込めて歌ったら自然と高い声が出た」って言ってて。
──高い音域を持っていたんだね。
ネオ : はい。すごく素敵なことだなって思いました。
