「FUNKISTという生き方を選び、歩いている」ことが誇り

──改めてFUNKISTの曲を聴いてみると、暗いサウンドの曲ってないですよね。そこは意識してるところですか?
ヨシロウ:たしかに、メッセージが暗くても、それを届けるためにサウンドは前向きに転換してるかも。
染谷:歌詞だけを見ると、めちゃくちゃハッピーな曲って実は少ないんですよね。アレンジや演奏でうまく届けられているんだと思います。僕自身、学生時代に居場所がないと感じる経験をしていたので、希望を語る音楽を素直に受け取れなかったんです。「夢は叶う」と言われても「お前はな」と突き放してしまうタイプで。だから、自分が歌う曲にはちゃんと「痛み」を入れたい。しかもその痛みの後に「だけど」ってその先の希望を描くような歌が書きたいんですよね。出発がネガティヴな感情だったとしても、結果的にポジティヴに昇華できるのはバンド全体の力だと思います。
──FUNKISTの25年間を改めて振り返って、どんなことを感じていますか?
染谷:すごくそぎ落とされて、純度が上がった感覚があります。自分自身で「FUNKISTという生き方を選んでいる」自覚があって、それに誇りを持って生きています。自分が選んだ道を歩いていることに淀みがないから、何が起きても納得することができるし、人のせいにしなくなりました。今FUNKISTのステージに立っているメンバーは全員、「自分がこのバンドをよくしてやる」と責任感を持っているやつばかり。すごく頼もしいし、幸せなことだなと思います。
──そういった気持ちは普段からメンバー同士伝え合っているんですか?
ヨシロウ:最近はライヴ後に「今日のあそこ、めちゃくちゃよかった」とか素直に言うようにしてますね。自分に対してもメンバー2人に対しても、正直になれている感じがします。
染谷:僕は逆に、ライヴ後の評価は減点式なんですよ。「どこを改善したらもっと良くなるか」と考えがちで。ヨシロウは「どこがよかったか」を見てくれるタイプだから、すごく助けられてます。
ヨシロウ:ライヴ後、染谷さんがこじんまりとした背中でマイク片付けてると、「あれ?元気ないのかな」って(笑)。
染谷:誰がこじんまりだよ(笑)。
──宮田さんはそのあたり、どういうスタンスですか?
宮田:「早く片付けなきゃな」って(笑)。
ヨシロウ:宮ちゃんとはギタリスト同士なので、車移動中とかによく話すんですよ。そういう関係性もいい感じです。
──全国を回った〈Pride of Lionsツアー〉も、ついに5月24日(土)の日比谷公園大音楽堂でファイナルを迎えますね。最後に意気込みを聞かせてください。
宮田:20周年はコロナで飛んでしまったので、その分今回の25周年は野音で盛大に祝いたいですね。野音が決まった当初は通過点として捉えていたけど、ツアーはとても充実した内容になったし2枚のアルバムも出せて、結果的に大きな意味がある日になりそうです。将来振り返った時に、「あの日の野音、やばかったよね」と言えるようにしたいですね。
ヨシロウ:ツアーを回る中で再会できた人やリスペクトする対バン相手たちのおかげで、FUNKISTはいま本当にいい状態です。野音では「これがFUNKISTの音楽だ」というステージにしたい。みんなと一緒に笑い合う1日にしたいです。ぜひ来てください!
染谷:今回のツアーの終演後に物販に立っていると、15年前に小中学生だった子が大人になって「ずっとFUNKISTを聴いていて、やっとライヴに来れました!」と声をかけてくれたんです。25年続けたからこそ「あの時のあの曲が、ちゃんと人に届いていた」と実感することができて、すごく嬉しかった。全国から集まってくれる方達に、「FUNKISTを好きでいてよかった」と思わせるライヴにします。会いに来てくれたら嬉しいです!
