自分の人生で欠かせない部分を表現できた
――初めて共作した人がいる一方で、“Unreal World feet.Shun from TOTAL FAT” は盟友との共演ですね。
Hi-yunk:この楽曲のデモも5年ぐらい前に作ったんですよ。これもあるアーティストさんに作ったんですけど使わなくなって、頭の中でたまにリフレインするというか、「やっぱりこれはやった方がいいな」って。Shun君と2年ぐらい前にイベントで交流が再開した中で、今回やりたいということでじつは何曲かゼロから作ったんですけど、あんまりしっくりこなかったんですよね。それで引っ張り出したのが“Unreal World”で、ブラッシュアップして形にしていった感じです。TOTALFATって基本は英詞なんですけど、僕はほとんど英詞にトライしたことがなかったので、このタイミングでやりたいなと思ってShun君に歌詞を書いてもらって完成しました。
――“紡ぎ feat.伴 都美子 from Do As Infinity”は、感動的なロックバラードですね。どういう成り立ちの曲ですか。
Hi-yunk:Do As Infinityさんといえば、我々世代からしたらポップアイコンとしてはもちろん、伴 都美子さんは僕らの中ではアイドル的な存在の人だったので、楽曲のオファーをいただいたときに、「喜んでやらせていただきます」って感じで書かせてもらいました。エアロスミスのようなスタジアム級の、大衆を包み込むような感じのキャパが大きい壮大なロックバラードにしてほしいっていうことで、こういう曲になったんですよ。自分の中ではすごく新鮮な楽曲だし、タイミング的にもホットだったのでセルフカバーさせていただいたんですけど、どうせカバーするんだったら、伴さんも入ってくれないかなって思ってオファーしたら、二つ返事でOKをいただいて、結果的にすごく熱い曲になりました。しかも最初はコーラスだけだったんですけど、「主メロもいいですか?」ってサビの主旋律も歌っていただいたんです。
――それでデュエットになったんですね。
Hi-yunk:そうです、もともとはハモリだけだったんですよ。この曲は音楽人生の青春時代と繋がっているというか、自分の人生で欠かせない部分を表現できたと思っています。自分がその時期に影響を受けたアーティストさんに自分が曲を書いて、その人が歌ってる楽曲を一緒にやるっていう、すごくエモい感じでしたね。アルバムを通して思うんですけど、このフィーチャリングのラインナップは、やっぱり僕でしかできないんじゃないかなと思っています。


――最後の曲、“Ten” はピアノの弾き語り曲ですね。クレジットも含めてアルバムでは異色に感じますが、どんな曲なんですか?
Hi-yunk:2021年にリリースしたBACK-ONのアルバム『Still B/O』のCDで、10曲目の“SKY WALKER”が終わってから12分22秒後に隠しトラックでこの曲が入ってたんですよ。ソロ活動への匂わせというか、敢えてストーリーを作りたくて、CDを買って気付いた人にしかわからない曲だったんですけど、今回、伏線回収というか正式に日の当たる場所に出した感じです。この曲を出したタイミングが結婚10周年目だったんですけど、結婚記念日がうちの親父の命日だったんですよ(12月22日)。それで12分22秒っていう結婚記念日と命日を表す時間帯に、隠しトラックとして流れるようにしていたんです。そこであえてシンプルに弾き語りでっていうイメージで作った曲を、今回改めて入れさせていただきました。これが、予想以上に反響が良くてびっくりしました。
――すごく良かったです。音の距離もかなり近いですよね。
Hi-yunk:シンプルに弾き語りを再現したくて、そのままゴッパー(SM58)で録ったんですよ。それがすごく生の感じ、空気感もあって、まさにこのアルバムを締める感じで11曲目に入れてよかったなって。
――歌詞は10年のTenと点をかけているわけですね。
Hi-yunk:そうですね。その点と点も結局、『MUSIC FROM CHAOS』の意味にも繋がってくるというか、自分が聴いてきた音楽が繋がって今になって、そこから先の未来に向けてまた繋いでいくっていう感じです。
――初のソロアルバム、出来上がっていかがですか?
Hi-yunk:今はまだ噛み締めてる段階なので、移動中とかに結構聴いているんです。これがあと1年ぐらい経ったときに、もっと深くなっていくのかなと。ここから熟成させて、もっと良いアルバムになっていくのかなって思いますし、これから先が楽しみです。
――今後、ソロでのライヴ活動も考えてますか?
Hi-yunk:アルバムに関しては、そもそもライヴを全く意識してなくて、楽曲で完結しているので、ライヴとなるとそれをどうやってアレンジするかを考えなきゃいけないんですよね。それが弾き語りになるのか、3ピースバンドなのか、もしくはDJスタイルでやるのかもしれないしわからないですけど、いずれお客さんの前で何かやりたいなとは思っています。


編集 : 西田健、草鹿立
ボーダーレスな音楽性を宿したソロ名義初アルバム
BACK-ON ディスコグラフィー
PROFILE:Hi-yunk
ROCK BAND「BACK-ON」のボーカリストとしての活動する中、精力的に他アーティストへの楽曲提供も手掛ける。 作詞、作曲、編曲をマルチにこなし、日本語、英語、中国語を自在に操り、グローバルに活動中。
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