
このコーナーは日々新しい才能を排出し続け、今最も勢いのあるライヴ・ハウス新宿Motionのスタッフが、“NEXT POP”をキーワードに次世代のミュージック・シーンを担うアーティストを、どこよりも早く紹介するコーナー。新宿Motionの店長である鶉野拓人とブッキング・スタッフの池内恵己が今回紹介するのはオワリカラのフロント・マンであるタカハシヒョウリを中心に企画されたプロジェクトTOKYO NEW WAVE 2010。この春には、SuiseiNoboAz、FARFRANCEなど、東京のインディー・シーンを賑わす異質なバンドが収録予定のコンピレーション・アルバムを発売する。2010年激動の音楽シーンにおいて、このプロジェクトが果たす目的について、SuiseiNoboAzの石原正晴、FARFRANCEの英真也、オワリカラのタカハシヒョウリの三者を交えてインタビューを決行した。
TOKYO NEW WAVE 2010とは?
2010年、新宿という場所で巻き起こる最新型の東京インディーズ・ムーブメント!
縦横無尽に駆け回る異質なバンドが、一日だけ集まるライブ・イベント!
そして、2010年のドキュメンタリーとしてのコンピレーション・アルバムを鋭意製作中!
1979年に新宿で生まれた伝説的コンピ『東京ニューウェーブ'79』の名前を後継し、いよいよ本格始動!
第一弾が3月28日、新宿motion新宿MARZで開催!
mail : tokyonewwave2010@hotmail.co.jp

INTERVIEW
——TOKYO NEW WAVE 2010というプロジェクトを始めようと思ったきっかけは?
タカハシ : タクトさんのabout tessというバンドが年末にMARZとmotionのニ店舗で開催しているSWAN SONG COUNCILというイベントがあります。2008年に行われたSWAN SONG COUNCILの2日目に、motionに出演しているバンドを中心に集めた日があったのですが、非常に盛り上がり、「これは何か面白いことが起きているな」と感じました。しかもその勢いがその後も衰える事なく、むしろ徐々に盛り上がっていくのが解りました。その時に、この盛り上がりをドキュメンタリーとして、まとめたら面白いんじゃないかと思ったのが始まりですね。最初は「やれたらいいよね」ぐらいだったんですけど、実現可能な状況になってきたので、この春にコンピレーション・アルバムを発売する事になりました。それに合わせて、アルバム収録予定のバンドが出演するライヴ・イベントも一緒にやっていこうと思い、3/28にMotionでイベントも企画しました。
タクト : 2008年の年末の二日目が本当にすごく盛り上がって、主催者ながらこの流れはすごいと感じました。その様子を見て2009年の年末は「これでいこう!」と決めました。
——TOKYO NEW WAVE 2010というタイトルの由来は?
タカハシ : 30年前に新宿で、パンク・バンドが集まったTOKYO NEW WAVE 79というムーブメントがあって、TOKYO NEW WAVE 79という新宿LOFTのライヴを録音したコンピレーションを発売したんです。その30年後の2010年版、つまり最新型の新宿のロック・シーンという意味を込めて、その名前をお借りすることになりました。
英 : その79年のコンピに参加しているバンドの名前がすごいんですよ。SEXとか、自殺とか(笑)。かっこ良すぎるだろって(笑)。
——2010ということは、一年を通してこのプロジェクトを進めていく予定ですか?
タカハシ : そうですね。2010年の間にイベントをいくつか開催したいと思っています。まずは、まだ僕らのことを知らない人たちに伝えたいです。だから、イベントはドンドン大きくしていきたいし、音源が出来たらたくさんの人に聞いてほしいと思っています。2010年通して、一つの形にしていきたいと思っています。
タクト : もちろん固まって一つのシーンとして、見てもらう事も重要だと思うんですけど、このコンピは今ここで何かを起こそうというものではなく、ここからそれぞれのバンドが巣立っていって、あのバンドがここで集まっていたという一つの結果になればいいと思いますね。
タカハシ : 単純に音楽的に似ているということでなく、全然違った色のパワーをもったバンドが集まった瞬間のドキュメンタリーにしたいと思っています。だから今後、全然違う方向に進んでもいいと思います。そういうバンドが現在新宿の一カ所に集まっているという意味を音源やイベントで表現できたらいいなと思っています。

——コンピに収録されているバンドの共通点はどこにありますか?
タカハシ : まずは場所の磁場というのがありますね。下北沢や高円寺という所謂ライヴ・ハウス・シーンに何か違和感を感じてきた人たちが必然的に集まったと思います。あとは東京の街で聞いて、リアリティがある。この街で暮らしている人の認識が、ストレートに出ているバンドだと思います。
英 : このコンピに参加しているバンドは、他のイベントで対バンする時も、なれ合いではなくイベント自体を高め合おうとする心意気が感じられるんです。妙な緊張感が毎回あります。他のシーンとは何かが違うとは感じていたんですけど、誰もそれを一つにしようとは思っていなかったんですね。だから、今回そういう話が来た時は、遂に来るべき時が来たと思いましたね。
石原 : 僕は自分のバンドの名前一つで喧嘩をしていきたいという思いがあるので、あんまり「シーン」という言葉が好きじゃないんです。ただ、前から話をしていたのは、「サマー・オブ・ラヴ」とか「オール・トゥモロウズ・パーティー」の様なイベントをしたいと話していました。基本的にはごっこ遊びじゃない、本気のぶつかり合いが出来ればいいと思います。
——今はまだ、東京の一つのシーンという実感ですか?
石原 : シーンとして見たら、実際には形になっていないと思います。今は形になっていく過程なのかなと思いますね。周りの人が感じている以上に、シーンとして形になっていないので、それが中身の伴った出来事になる一歩だとは思いますね。
英 : 仲はいいんですけど、各バンド壊し合うというか、やたら攻撃的なんです(笑)。依存し合うようなバンドではないんです。さっき石原さんが言っていたように、自分たちでのし上がって行こうという意識が高いバンドばかりですね。
タカハシ : 依存し合うバンドじゃないからこそ、まとめあげても大丈夫だと思いました。各バンドが自分たちのパワーだけで成り立っているからこそ、安心できるし、そのパワーが薄まる事なく増幅する。すごくリアリティがあるものになるという自信は最初からありました。
——先ほど話に挙った既存のモノに対する違和感とはどういうことですか?

タカハシ : それぞれバンドによって違和感の形は違うと思います。ただ、違和感があるから、こういう音楽を演奏しているんだと思います。
英 : 僕はメジャー、インディーズに関わらず自分を持っているバンドが好きです。メジャーだから持っている訳でもなく、むしろインディーズの方がそういうバンドは多いかなと思います。もちろんメジャーにもいるんですけど。だからあまり境目として、関係ないかなと思いますね。
タカハシ : メジャーとアンダーグラウンドという概念を簡単に行ったり来たりできるバンドばかりが集まっていると思います。それぞれ十年後にどういった方向に進むのかは非常に楽しみなので、注目していてほしいですね。
石原 : 僕はそういった境目はどうでもよくて、そういう面では音楽に関わっている人よりも、お客さんの方が音楽に対しての姿勢がはるかに自由だと思います。音楽ってやっぱりLOVEの話で、何をどういう風に愛するかという話だから、自由な奴の方が偉いと思います。お客さんは自由に音楽を愛しているから、そこに新たなビックリ・サウンド(笑)を提示していけたら、それでいいのかなと思いますね。
タカハシ : あとは指針を必要としている若い人は絶対にいると思うので、そういう人たちにある方向を示して挙げることも必要なんじゃないかと思っています。曽我部恵一さんや向井秀徳さんがオススメするレコードを自分自身が参考にしていた事と同じだと思います。そういう事で僕は音楽の扉を開いてきたから、今度は自分がやれる立場になったので、やろうよという気持ちが強いです。それで、今回のイベントは高校生以下は入場料無料にしました。ワクワクするものに触れたい高校生に、少しでも機会を増やしたいからです。好きな音楽に触れて、さらに新しい扉を開いて行くことは、音楽に出来る大きな事だと思います。
——いよいよ今月末には一回目のイベントが控えています。最後にTOKYO NEW WAVE 2010の今後の予定を聞かせてください。
タカハシ : まずは3/28にmotionでイベントを行います。コンピに入るバンドから数バンドと、シークレット・ゲストが出演します。後は6月にコンピのレコ発イベントを行います。それから、まだ構想段階なんですけど、新宿のライヴ・ハウスの力を借りてもう少し大きな規模で開催したいとも考えています。ワクワクすることは絶対に保証するので、是非楽しみにしていてください。

Event Shcedule
Tokyo New Wave 2010 vol.1

- 3/28(日)@新宿MARZ & Motion
前売/当日 ¥2,000/¥2,500 (D別 ¥500)
★高校生以下無料 (D別:1Drink ¥500 or ソフト・ドリンク飲み放題 ¥1,000)
★MARZ⇔Motion 往来自由!!
w / FARFRANCE / 太平洋不知火楽団 / シャムキャッツ / SEBASTIAN X / 東京カランコロン / the mornings / 壊れかけのテープレコーダーズ / オワリカラ / (O.A)笹口騒音ハーモニカ / +1 secret guest band!!!
■MARZ
17:45-18:05 1.笹口騒音ハーモニカ
18:10-18:40 2.SEBASTIAN X
19:00-19:30 3.the mornings
19:50-20:20 4.太平洋不知火楽団
20:40-21:10 5.secret guest band!!
21:30-22:00 6.オワリカラ
■Motion
18:35-19:05 1.シャムキャッツ
19:25-19:55 2.壊れかけのテープレコーダーズ
20:15-20:45 3.東京カランコロン
21:05-21:35 4.Far France
Tokyo New Wave 2010 参加バンドを一気に紹介!
Motionとは?
新宿Motionは新宿歌舞伎町に2005年10月にOPENしたキャパ120人のライヴ・ハウス。良い歌、良い演奏、良いライヴというのはジャンルを超えて伝わるものだという思いで、多くのバンドが「どうすればもっと良くなるだろう? 」と思う気持ちを一緒になって考えています。伝える事、伝わる事の難しさ、楽しさ。その伝達力の強さが強ければ強い程「POP」なんだという思いから、OPEN一周年記念コンピのタイトルは「NEXT POP」にしました。その「NEXT POP」という言葉がそのまま新宿Motionのカラーになっていると思います。
- website : http://Motion-web.jp/
- staff blog : http://MotionMotion.blog63.fc2.com/
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