MYTH & ROIDは連なった楽曲を聴かせるアーティスト
ーーせっかくなので曲順にTr.04の『Tempest-tost』についても伺いたいです!
KIHOW:今回のアルバムの中でも“これまでのMTYH & ROID感”が1番色濃く残っているなと思っているのですが……正直、今回のアルバムって私としてはどの曲も、比較的割とすんなりレコーディング出来たというか、すごく楽しく歌えたなっていう印象しかなくて、逆に「ここが苦労しました」みたいな印象的なことがほとんどなくて(笑)。
ーー1番嬉しいパターンじゃないですか!(笑)。逆にTomさん的には今回のアルバムや楽曲は、割とすんなり書けた方なのでしょうか? それとも苦労された部分などありますか?
Tom-H@ck:うーん、まあ苦労したといえばしたのかな? アルバムにしては制作期間がかなり短かったんだけど、作曲に関しては2ヶ月くらいの間にポチポチと作ってて、アレンジは5日間くらいでゴリゴリっと作った感じで。コレは自分の性質の問題なんですけど、締め切りギリギリまで追い込まれてからじゃないと曲を作らないんですよね(笑)。だけど「出てこないな〜」みたいな、頭をうんと悩ませながらの難産だったかと言われればそうではないので、苦しかった感覚はないですかね。でも余談じゃないですが、先ほど話してた『Tempest-tost』は、最初デモの段階とはコード進行から何から、もう全く別の曲で、原型がまるで残ってないんですよ(笑)。一旦『shadowgraph』とか『STYX HELIX』みたいなイメージの世界観で作り直して、実際にメロディの構成的にも近しいんですけど、その中でも新しい何かを感じてもらえるようにという事でコード進行やアレンジを後から付け加えて変えていった感じだったので、KIHOWちゃんがさっき言ってた「”これまでのMYTH & ROID感”を1番濃く感じる」というのはあながち間違いじゃないんです(笑)。
ーーTomさんとしても、そこまで苦労はなかったんですね(笑)
Tom-H@ck:あとは今回、タイアップ作品が1曲だけなので、その点もやりやすかったというか、やっぱりタイアップ作品の楽曲となると、アーティストとしてはこうしたいけど、アニメ側の意見とすり合わせる必要があって、時には頭を悩ませるなんてこともあるんですが、今回はその1曲以外は全てオリジナル曲としてアルバム制作を進めることができたので、すんなりやれたという印象があるかもしれませんね。
ーー裏を返せば、MYTH & ROIDが今やりたかったことを純粋に詰め込めたアルバムでもあると言えると思うのですが、そんな中で特にお気に入りの楽曲など、ありますか?
Tom-H@ck:そうですね、でもメンバー間でも割と話題に上がるのは『...And REMNANT』って最後に収録されている楽曲ですかね。ちょっと神々しい感じの曲なんですが。
ーーおっしゃる通りで、すごく神々しさもあって、そのせいか余計に「第一部、完!」みたいなスパッとした終わり方のようにも聞こえてしまって「この後、本当に話が続くの?どうやって?」と少し不安にもなるような印象を受けているのですが、この『AZUL』のクライマックスをどう飾るのか?という点におかれましては、どんな事を考えられたのでしょうか?
Tom-H@ck:そういう意味では、ここが1番難しかったんだと思うんですよね。ストーリーを考えてもらったhotaruから、ある程度アルバムの設計図となるメモ書きはもらってたんですけど、その時に思ったのが、1つの物語を2枚のアルバムに分けるとしても、曲数を考えると1曲で描ける内容ってかなり限られてくるし、場面の切り替えが急になってしまったりもするしで、楽曲の構成の難易度が高いなという印象で。最後の曲に関しては『AZUL』のオチとしての役割と同時に、次作に向けた物語の中間地点でもなくちゃいけないので、hotaruとも密に相談しながら作りましたね。
ーーこの曲は難易度が高かったとおっしゃっていましたが、作詞を担当するhotaruさんとしては、この曲が出来上がってきた時の印象とか覚えていらっしゃいますか?

hotaru:この曲が上がってきた時は、意外ではありましたね。Tomさんも言ってたように割と何回もすり合わせをしていて、他の曲に比べてもこの曲だけはやり取りのラリーが多かったかなという印象もあるのですが、そんな感じなのでだいたいの方向性は掴めていたものの、ここまで色濃く雰囲気を出すんだ!みたいな意外さですね。ただその中にもメロディとしての新しさだったり、単純な物語の部分だけではなくて、MYTH&ROIDとして打ち出したい部分も表現されていて、このアルバムのトリを飾るに相応しい曲となったんじゃないかなと思います!
ーー話は変わってしまうのですが、ストリーミング全盛の現代において、曲単体としてのパワーが求められている中で、こうしてアルバムを2作通して1つの作品とする行為って、ある意味では時代に逆行した行為のようにも思えて、あえてそこで勝負しに行くカッコよさを感じたりもしました。
Tom-H@ck:確かに、サブスクとかのシャッフル再生とかで、たまたまその曲が流れてきたり、配信サイトで1曲単位で購入できたり、そういう流れが主流になっていますけど、そこに対する僕らの答えは割と単純で、MYTH & ROIDのファンってアルバムで購入してくれる方が非常に多いんです。裏を返せば、僕らの世界観を愛してくれている方が多い証拠でもあるのかなって思うし、言い換えるとMYTH & ROIDは連なった楽曲を聴かせるアーティストなのかな?とも思っています。もちろん1個1個のタイアップ作品の曲で強烈なインパクトを残していくって事もやってはいますけど、それを並べる事で更に強烈さが増すというか、ストーリー性のあるアーティストだよなと自負しているので、今回みたいなリリースの方法というのは、1番適してもいるし、何より1番やりたかった方法だよな、と思いますね。
ーーともすれば、現在行われているワンマンツアーは格好の表現の舞台でもあるわけですよね?
Tom-H@ck:そうですね。我々の世界観を音楽はもちろん、ストーリー仕立てになっていたりとか、映像や舞台でより感じてもらえる工夫をかなり凝らしているので、ぜひ足を運んでいただきたいです。たぶん、あまり体感したことの無いようなライブ会場の雰囲気とか、パフォーマンスもあったりするのでぜひ来てほしいです!
連作ミニアルバム第1弾『AZUL』
編集 : 西田健
LiVE SCHEDULE
"MYTH & ROID One Man Live 2023 Autumn Tour “AZUL”"
2023年10月28日(⼟) 開場17:30 / 開演18:00
静岡 LIVE ROXY SHIZUOKA
2023年11月4日(⼟) 開場17:30 / 開演18:00
大阪・⼼斎橋 SUNHALL
2023年11月12日(⽇) 開場17:00 / 開演17:30
東京・渋谷 Spotify O-WEST
詳細はこちら
PROFILE:MYTH & ROID
「MYTH & ROID」(ミスアンドロイド)は、インターナショナルで本格的なサウンド、鋭角的でキャッチーなメロディ、圧倒的なボーカルパフォーマンスを兼ね備えた日本のアーティスト。
2015年のメジャーデビュー以降、数々の大ヒットアニメの主題歌を手がけ、MV及び関連動画総再生回数は1億5千万回を超える。
「感情の最果て」をテーマに、音楽、映像、ビジュアルなど、あらゆる側面から国籍や時代にとらわれない普遍的な人間の感情を描いて世界的な評価を得ており、これまでに20ヶ国以上でLIVE公演を行なっている。
2016年に発表した3rd Single「STYX HELIX」4th Single「Paradisus-Paradoxum」は2作続けてiTunes Store(JP)総合ランキング1位を記録。
また、2019年に発表した10th Single「TIT FOR TAT」のMVは公開から約1年で500万回再生を超え、2020年に発表した1st Digital Album「Future is Mine」では遂にサブスクリプションを解禁。同アルバムはノルウェーのiTunes Storeアニメトップアルバム1位を記録。他にもニュージーランド、マカオ、イギリス、イタリアなどの世界各国でTOP10にランクインを果たしている。
ユニット名「MYTH & ROID」は、過去を想起させる「Myth」(神話)と未来を想起させる「Android」を組み合わせた造語。
【公式HP】
http://mythandroid.com/
【公式X】
https://twitter.com/myth_and_roid
【公式Facebook】
https://www.facebook.com/mythandroid/