鹿沼亜美インタヴュー「ONEPIXCELは人生そのもの」

もう死ぬんじゃないかっていうくらい嬉しかったです(笑)
──メジャー2ndシングル『Sparkle』は、鹿沼さんにとってどんなシングルになりましたか?
鹿沼亜美(以下、鹿沼) : メジャーデビューしてから2枚目のシングルなので、もっと頑張らなきゃっていう気持ちもあるし、今までONEPIXCELとして活動してきた中にはなかった明るい爽やかな曲調なので、新しい一面が見えるシングルなんじゃないかなって思います。
──1stシングル「LAGRIMA」とも違うし、インディーズ期の曲とも違いますもんね。
鹿沼 : そうですね、はい。
──メジャーデビューが発表された2017年12月のO-WESTでのライヴを観ていたんですが、「ドラゴンボール超」のED曲になることが発表されたときに、鹿沼さんは号泣してましたよね。
鹿沼 : 号泣しました! 恥ずかしい(笑)。あれは知らなかったんですよ。「ドラゴンボール」と「ONE PIECE」は日曜日にセットで見たりして、育ってきた中にいつもあったんです。もう好きを通り越して日常になっていたので、本当に嬉しすぎて泣きました。夢なんじゃないかっていうか、もう死ぬんじゃないかっていうくらい嬉しかったです(笑)。

──田辺さんと傳さんは、小さい頃から芸能活動をしていましたけど、鹿沼さんはそういう活動はしていなかったんですよね。小さい頃は、どんな子どもだったんですか?
鹿沼 : 小さい頃は、郊外の小さい田舎で、本当に元気に育ちました。どんなところに行っても「元気だね~うるさいね!」って言われて育った感じです(笑)。今も、ステージでは私がずば抜けて喋ってますね。何を言ってるかわからないけど、言葉が勝手に出てくる、みたいな。頭が考える前に、言葉が出てきちゃう傾向はあります。動きもうるさいので、よく先生に怒られてました。
──そんな子どもの頃に、芸能活動に憧れたりはしていなかったんですか?
鹿沼 : 人前に出て何かをすることが好きだったので、小5くらいのときから「テレビに出る」とか言ってたんですよ。小1の頃から地元でジャズダンスをずっとやっていて、小さな舞台とか公演とかには出ていたので。ステージに立つのはすごく好きでした。
受かるかもわからなくて、すごくドキドキな1ヶ月でした
──アイドルグループとか、憧れていた人たちがいたんですか?
鹿沼 : フェアリーズさんです。他にも好きなアイドルもアーティストもいたんですけど、自分でお金を出してCDを買うくらい好きになったアイドルはフェアリーズさんが初めてでした。それでイベントとかに行っているうちに、「私もやってみたい」って思うようになってきて。中学になったらカラオケに率先して行くようになってますます「歌って踊りたい!」ってなってきて、高校生になる頃には「私も世の中に出たい!」って思うようになったんです。
──それまでは、とくに行動に起こさなかったんですか? オーディションを受けたりとか。
鹿沼 : 何故かオーディションを受けるっていう概念がなくて(笑)。ただ、芸能人になりたいって思ってただけ、みたいな。
──どうやったらなれるのかわからなかったということ?
鹿沼 : オーディションというものを受けないといけないっていうことは何となくわかったんですけど、親もずっと言ってるだけだと思ってたらしくて、実際にオーディションを受けるとなったら、「絶対受からないからやめなよ」って反対していて。でも、高校1年の夏にオーディションを受けようって思ったんですよ。それで、毎月買っていた「セブンティーン」を読んでいたら、東宝芸能のアーティストオーディション開催っていう記事があって、そこに傳ちゃんが載っていたんですよ。
──へえ~! もうその頃には傳さんは東宝芸能にいたんですか。
鹿沼 : そうなんです。傳ちゃんは、私とななみんより前に、候補生として入っていて、雑誌に載っていたんですよ。傳ちゃんはキッズダンサーとして、私が出ていたイベントにゲストに来たことがあったんです。それで、「あ、この子知ってる! 東宝芸能に入ってるんだ」って思ったんです。「長澤まさみさんがいる事務所かあ~、すごい!」みたいな。それで、絶対ダメだろうけど、やってみようと思って。私、すごく負けず嫌いなので、このオーディションがダメならやめようと思ったんです。高校は商業高校に進学したので、就職するつもりだったんですよ。そういう人生もあるから、とにかく1回賭けてみようと思って。

──最初で最後のオーディションのつもりだったわけですね。
鹿沼 : そうです。それで、そのときの思いつきでちょっと寝間着っぽい部屋着と、ボサボサの髪の毛のままで弟に写真を撮ってもらって応募したら、(書類審査に)受かったんです(笑)。それでオーディションに行ったらその日のうちに電話が来て、まだ合格ではないけど、練習生としてレッスンに来てって言われて。そこから1ヶ月間、傳ちゃんとななみんと、そのときにいたもう1人のメンバーと4人でレッスンを受けたんです。それで、8月の最後に全員合格になって、「この4人で活動していきます」って、ONEPIXCELが始まったんです。何人で始めるのかもわからないし、受かるかもわからなくて、すごくドキドキな1ヶ月でした。
──商業高校に進学して将来は就職するっていうところから、芸能活動を始めるってすごく決断のいることだと思うんですよね。オーディションに合格したら、こうしていきたいっていう想像はしていたんですか?
鹿沼 : 全然、してなかった(笑)。
──(笑)。
鹿沼 : 東宝芸能って、映画のイメージがあったし、「大きい事務所なんだろうな」っていうのはわかっていたから「こんな私なんか受かるわけがない」って思っていて。もちろん、やる気はあったんですけど、受かる受からないじゃなくて、本当にそのときの思いつきで応募したので。受かったらこうしようとかいう余裕もないまま、ポンポン進んで行ってしまった感じでしたね。考えている暇がなかったです。
最初の頃は、とにかく恐怖しかなかった
──2015年9月にグループの活動が始まって、すぐにお披露目があって、1年後には渋谷WWWでワンマンライヴを開催するまでになっているくらい、すごいスピード感で活動してきたと思うんですけど、最初の頃は大変だったんじゃないですか?
鹿沼 : 最初の頃は、とにかく恐怖しかなかったです。ずっとアイドルが好きで見ていたから、人にチヤホヤされるんだろうなっていうのはわかっていたんですけど、実際に応援メッセージとかをもらうと、「なんで自分にこんなに送ってくれるんだろう?」って、全部疑問に感じてしまっていて。周りを見る余裕もなかったです。歌もダンスも、人前に立ってやらなきゃいけないし、しかも緊張するし、とりあえず「怖い、どうしよう」っていう気持ちでした。「あれ? なんで私、こんなところにいるんだろう?」って。
──その怖さを乗り越えられたのは、どうしてだと思いますか。
鹿沼 : ONEPIXCELが3人になって、どんどん話す機会が増えて行く中で、1人1人の意見を聞けるようになったときに、「怖い」と思ってるのって、自分だけじゃなかったんだなって気が付いたんです。私から見て2人は、もともと活動経験があるし、慣れてると思っていたから、怖いとかそういう感覚はないんじゃないかなって思っていて。でも、実際は緊張したりとか、どうしたらいいかわからないっていう気持ちがあるっていうことが、話し合ったときにわかったんです。

──そのときは、どんな話し合いをしたんですか?
鹿沼 : 傳ちゃんが、「何か思ったことがあったら、隠さないで言おう」って言って。「何でも言い合える関係でいよう」ってなったんです。そういう話をしたのは、3人になったときの夏(2016年)と、去年の夏ですね。何故か分岐点が夏なんですよね、必ず。4人でも人数は少ないから1人1人が目立っちゃうけど、3人になったときに、スペックの高い2人と私になって、「どうしよう!?」って思ったんですよ。でも、ここでマイナス思考になっていても進まないから、とにかく2人に追い付こうと思って、歌とダンスの練習とか、ダイエットしたりとか、メイクを研究したりとかしていました。最初の頃は、歌とパフォーマンスをすることで精いっぱいで、ONEPIXCELの先のことを考えることはなかったんですよ。でも、だんだん活動をしていく中で、関わってくれる大人の方も増えてきたり、3人になってそれぞれの意思を話し合う機会があって、「頑張らなきゃ、ONEPIXCEL売れなきゃ」っていう気持ちが強くなって、変わったなって思います。
──さっきおっしゃった、「スペックの高い2人と私」だったのが、ちゃんと3人のグループになっているっていう自信が出てきたのっていつ頃からなんですか?
鹿沼 : 「LAGRIMA」のリリース・イベントが終わったくらいからです。
──えっ? 最近じゃないですか。
鹿沼 : 本当に、最近です。今は歌うこと踊ることパフォーマンスすることが3人の中で1番好きって言ってもいいくらい好きで、ライヴを1番楽しめている自信があるんですよ。でも、「LAGRIMA」をリリースする前までは、歌は外すし、落ち着いてパフォーマンスをすることができなかったんです。「LAGRIMA」はすごく難しい曲で、3人でライヴが始まる前に音を確認したりしているうちに、1つ1つのライヴを大事にできるようになってきたというか。その頃から、「ちゃんとできてるな、ちゃんとしようとしてるな」って自分で思えるようになりました。
──それは、メジャーデビューという大きな節目が大きかったですか?
鹿沼 : 大きかったですね。それとやっぱり「ドラゴンボール超」が大きかったですね(笑)。「ドラゴンボール超」を見て、ライヴに来ましたって言ってくれる人の多さに圧倒されて。これはできないとか言ってる場合じゃない、やらなきゃダメだって。しかもそれをやらせていただいてるっていう感覚、「これはすごいことなんだ」っていう責任感も、「LAGRIMA」のリリイベ期間中に感じたんですよ。
──受かるか受からないかわからないけどオーディションを受けてみようと思ったところから考えると、ものすごい成長ですよね。
鹿沼 : 本当、成長しました。考え方とかも変わりました。最初は、自分のやりたいっていう気持ちだけでオーディションを受けましたけど、夢が叶ってONEPIXCELになれて、自分だけの夢じゃなくなったわけじゃないですか? 傳ちゃんとななみんと一緒に上がっていきたいし、責任感とか、ONEPIXCELとしての意思っていうのが強まりましたね。
日本武道館とかに余裕で立てるくらいの規模のグループになりたい
──今、鹿沼さんにとってのONEPIXCELってどんなものになっていますか。
鹿沼 : 絶対売れたいし、3人でいけるところまでやって行きたいから、人生そのものですね。
──その人生に於いて一緒にやっている2人、傳さんと田辺さんは鹿沼さんにとってどんな存在ですか?
鹿沼 : ななみんは、尊敬できるところがたくさんあって。もともと、こういう業界で生きてきたっていうこともあるかもしれないけど、意思が強いというか。「できない」って言葉にはするんですけど、できちゃうんですよ。歌やダンスも、やってなさそうでいて、実はすごく努力しているんですよね。それと、何か仕事するっていうときに、1番細かいところまで確認してくるんですよ。言葉使いとか挨拶とか、すごく美容のことを考えていたりとか、ふとした瞬間に人前に出る人間としてのプロ意識の強さを感じます。あと、すごく優しいし、頼れるんですよ。身長も1番高いし包容力があるというか、あのほんわかした感じに癒されるというか。ワンピクにななみんがいなかったら、私たちは歌を歌えてないなって思います。
傳ちゃんは、友だちみたいなんですけど、でも友だちっていう言葉にではできないんですよね。だからといって、仕事仲間でもないんですよ。傳ちゃんはすごく話しやすくて、すごく相談を受けるし、結果ななみんにも言うんですけど、とりあえず自分の身の回りに何か起きたら、傳ちゃんに言う、みたいな。「腹立つ、こいつ~」って思うときもあれば、「好きだわ~」って思うこともあるし。

──腹が立つときもあるんですか(笑)。
鹿沼 : 生意気なんですよ、いい意味で(笑)。私の精神年齢が低いっていうのもあると思うんですけど、同級生感がありますね。同じタイプなんですよね、根っこの考え方とかが似てるんだと思います。傳ちゃんとななみんに共通して言えるのは、私にとっていなきゃいけない存在ということですね。落ち着くし、他で何かがあっても、「傳ちゃんとななみんがいるからいいや」って思えるくらい、かけがえのない存在です。大好き、愛してます(笑)。
──例えば3姉妹だったら、どういう順番になりますか。
鹿沼 : 「長女・私、次女・傳ちゃん、三女・ななみん」ですね。私、結局、傳ちゃんとななみんを甘やかしちゃうんですよ(笑)。だから私が長女かもしれないですね。
──今後は、ONEPIXCELをどんなグループにしたいですか。
鹿沼 : 今は、ONEPIXCELはアイドルフェスとかに出ても握手会とかしていないこともあって、もしかしたら受け入れられていないかもしれないけど、逆にそれが普通になるというか、握手会とかをしなくても音楽を聴いてパフォーマンスを見てグループを推してくれるようにしたいんですよ。今は接触イベントとか、“OiOi !!”みたいなライヴがスタンダードになってるから、ONEPIXCELがそれを覆していきたいって、私は思っています。パフォーマンスを見てONEPIXCELが好きって言ってくれる人がたくさん増えてほしいし、日本武道館とかに余裕で立てるくらいの規模のグループになりたいなって思います。
>>>田辺奈菜美へのインタヴューはこちらから
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PROFILE
ONEPIXCEL(ワンピクセル)

3人組ガールズ・グループ、 2015年9月20日結成。2016年6月22日にインディーズ・ミニ・アルバム『ZERO』をリリース。その後『TONDEKE / Analoganize』『Time』2枚のシングルをリリースし2017年10月18日にフル・アルバム『monochrome』をリリース、エレクトロダンス・ナンバーからヘビーなギターチューンまで収録されたクオリティの高いJ-POPアルバムが評価される。ライヴに関してもワンマン、イベントと積極的に活動、2017年はアイドル大型フェス〈TOKYO IDOL FESTIVAL 2017〉や〈@JAM EXPO 2017〉を始め数々のイベントに出演しハイレベルなパフォーマンスと自然体のMCで多くの観客を魅了する。2018年3月7日シングル『LAGRIMA』でメジャー・デビュー。CG合成を一切使わずにスタジオでタイポグラフィーと色彩投影を駆使し撮影されたミュージックビデオはCX系アニメ「ドラゴンボール超」エンディング主題歌タイアップの話題もあり国内外で幅広く視聴されておりYouTubeの再生回数は200万を突破している。