田辺奈菜美インタヴュー「ONEPIXCELっていうジャンルを創りたい」

親が、絶対受からないだろうから諦めさせようとして応募したんです
──メジャー・デビューから半年近く経ちましたけど、これまでとどんな変化がありましたか?
田辺奈菜美(以下、田辺) : 最近は、こういう取材とか、ラジオとか、今までにあまりなかったメディアに出ていくことが増えましたね。レッスンとかレコーディングも増えたので、メンバーとは毎日のように会っていて楽しいですし、充実感を感じてます。気持ち的にも、「3人でもっと頑張らなきゃいけない」っていう話し合いをしたり。映像とか写真を撮っていただく機会がすごく増えたので、表情とか動きをもっと意識していかないとなって。
──もともと田辺さんは小さい頃からアイドルとして活動をしていて、そうしたメディアに出ることもあったんですよね。
田辺 : はい、デビューはしていないですけど、研修生という形(ハロプロエッグ)でやってました。
──幼少期からアイドルに憧れていたんですか?
田辺 : 小さい頃からモーニング娘。さんが好きで特に、ミニモニ。さんが『とっとこハム太郎』とコラボしてやっていた「ミニハムず」が大好きで、「モーニング娘。ってアイドルなんだ!?」って、アイドルという存在をそこで知ったんです。それからテレビとかでアイドルさんとかが出てる音楽番組を見るのが好きになったんです。あと、アイドルをメインとした「きらりん レボリューション」っていうアニメを見ていて「すごく楽しそう!」って思ったり。それで「アイドルになりたい」ということはずっと言ってたんですけど、親には否定されていて。「オーディションなんて受けても絶対受からないから」って。

──それが、小学生の頃?
田辺 : 小4くらいですね。その頃、テレビアニメ『しゅごキャラパーティー!』で「しゅごキャラエッグ! アミュレットダイヤオーディション」を募集していたんですけど、親が、絶対受からないだろうから、諦めさせようとして応募したんです。そしたら受かっちゃったんですよ(笑)。
──親御さんからすると、逆効果だったわけですね(笑)。
田辺 : びっくりされました。「まさかっ!?」って。
──憧れの世界にいざ飛び込んでみて、どうでしたか。
田辺 : 5年間ハロプロにいたんですけど、今思うと他の人ができない体験をたくさんさせてもらったなって。舞台とかレコーディングもそうですし、先輩方のバックで日本武道館とか大きいステージに立てちゃったんですよ。そこに立たせてもらえたっていうありがたさは、すごくあるなって。そういうことを経験しているからこそ今があると思っています。
「ハロプロのことを引きずってたらダメだ」って気付いた
──ハロプロ研修生時代を経て、東宝芸能のオーディションを受けて2015年にONEPIXCELのメンバーとしてデビューしたわけですが、どんなきっかけがあったんですか。
田辺 : ハロプロを辞めて、高校生になって1年間ぐらいは普通の生活をしていたんですけど、やっぱりもう一度ステージに立ちたいって思うようになって。でも今度はドラマとか映画を見ていて、女優さんに憧れたんですよ。そうしたらお父さんが、オーディション雑誌を買ってきてくれて、そこに書いてあった東宝芸能の女優部門募集を見て、「ここに出した方がいいんじゃない?」って応募してくれたんです。
──「東宝芸能」っていう事務所名は、お父さんの世代にとって信頼がおける感じだったんでしょうね。
田辺 : たぶん、そうなんだと思います(笑)。私は、「「東宝芸能」って長澤まさみさんのところだ!」って思ったから、写真を撮って書類を出してもらったんです。書類審査は落ちちゃったんですけど、そのときに「ガールズユニットを募集しているから、そっちはどうですか?」って紹介されて。1番やりたいのは、歌ったり踊ったりするアイドルとかアーティストだったので、やってみたいなと思って。それでレッスンに参加してみました。それが後にワンピクになりました。
──ハロプロ研修生の頃からすると、ONEPIXCELでやってることって全然違うと思うんですけど、グループのメンバーになるにあたって、それまでやってきた活動との気持ちの切り替えって、ご自分の中であったんですか。
田辺 : ONEPIXCELっていうグループは、イチから創らないといけないわけじゃないですか? そういう厳しさを改めて感じました。ワンピクの最初のステージには、ハロプロ時代から応援してくださっていた方たちがたくさん観に来てくれたんです。でも、何回かやってるうちに、新しい人も増えるけど、最初に来てくれた人は来てくれなくなったりして。曲調も全然違うし、やってることも違うから、「ハロプロ時代とは違うんだ」って思った人もいると思うんです。私自身も「ハロプロを引きずってたらダメだ!」って思った時期があって。

──それは、ONEPIXCELの活動が始まってしばらく経ってからですか?
田辺 : メジャーデビューする前の夏(2017年)に、3人で泣きながら話し合ったことがあったんです。そのときまで、私はずっとハロプロ時代を引きずっていて、「ハロプロのときみたいになりたいけど、どうしたらワンピクでああいう風になれるんだろう」って思っちゃっていたんですよね。でもそのときにみんなで自分の思いを語りあって、「ハロプロのことを引きずってたらダメだ」って気付いたんです。
──それくらい、ハロプロ時代はただただ楽しかったっていうこと?
田辺 : そうですね。でも、先輩がいるからこそ、ハロプロ研修生も見てもらえるっていう面もあるじゃないですか? 東宝芸能のガールズユニットはONEPIXCELが初なので。今は、前例がいないっていうことを踏まえて活動しています。私たちが切り開いていかなきゃっていう。
──ONEPIXCELでの自分の役割みたいなことは、始めるにあたって何か考えましたか。
田辺 : いや、とくに考えなかったですね。今は、お互いに足りないものを3人で補いながらやってるなって思ってます。全員キャラも性格も違うし、顔の系統も違うし。亜美はすごく喋るし明るいですけど、私にはそういう部分がないから補ってくれてるし、傳ちゃんは年下なのにしっかりしてるし、ダンスもすごく上手いし、私と全然違うんですよ。そういうところを補ってもらってるなって。
──そういう経験は、これまでにはなかったことですか。
田辺 : 今までになかったです。それまでは「自分、自分」だったのが、今は「3人で一緒に頑張ろう」って思えるようになりました。
私が3人の中で1番面倒くさい性格なんですけど(笑)
──それまでの田辺さんは……。
田辺 : 「自分さえ良ければいい!」って思ってました(笑)。自分さえ目立ってりゃいいやって。
──ははははは。でもそれは、小さい頃から積極的に前に出ないといけない環境に身を置いてきたってことなんじゃないですか。
田辺 : そうなんですよ。「センターじゃないとヤダ」とかいう時期もありました。でも、今は3人でちゃんとバランスよくできれば良いと思うし、3人で上を目指していければなって思ってます。
──そういう考え方になれたのは、どうしてなんでしょう?
田辺 : やっぱり、去年の夏に話し合えたことが大きかったですね。自分の思っていることとか、「ワンピクで将来こうなりたい」っていうことを3人で言い合って、夢を固めたときがあったんです。そのときに、「この3人でやっていかなきゃいけない」っていう覚悟を決めました。

──その話し合いって、何かきっかけがあってそうなったんですか。
田辺 : 色々ありました。(リリイベなどで)初めて毎日一緒にいる夏だったので、お互いの嫌な部分とか良い部分、好きな部分がわかって。毎日一緒だと、「今日は機嫌悪いな」とかわかるじゃないですか? そういうことがお互いあって。でも、そういうことって話さなきゃ直らないし。たぶん、私が3人の中で1番面倒くさい性格なんですけど(笑)。
──そうなんですか(笑)。どんなところが?
田辺 : 感情がすぐ顔に出ちゃうので。でもそういうのは自分では気付いてないから、言ってもらわないとわからなくて。3人で話し合ったときにそう言われて、「私ってそうなんだ、直そう」って思ったり。それは話し合って良かったなって思います。
──それまでは、遠慮していたようなところがあったんですか?
田辺 : ありましたね。仲は良かったんですけど、本音は言えてなかったみたいな。でも今は、結構言い合ってます(笑)。ファンの人によく「ONEPIXCELは本当に仲が良いのがすごく伝わってくる」って言われるのが、すごく嬉しいです。
──小さい頃にアイドルに憧れてこの世界に足を踏み入れた田辺さんにとって、ONEPIXCELってアイドルなんですか?
田辺 : そこは、お客さんに任せてます。自分たちで、「アイドルです」とか「アーティストです」とかって言っちゃうのは違うなって思うんです。私は、別にアイドルもアーティストも変わらないと思ってるんですよ。それよりも、「ONEPIXCEL」っていう別のジャンルを創りたいんです。アイドルでもアーティストでもなくて、「ONEPIXCELはONEPIXCELだよね」っていう風になりたくて。お客さんが、アイドルだと思うならアイドルでいいし、アーティストだと思うならアーティストでいいと思います。
今回は明るいONEPIXCELが見える新曲だと思います

──今、田辺さんにとってONEPIXCELはどんなグループになっていますか。
田辺 : 今はONEPIXCELがないと生きていけないです。ワンピクがなかったら、他のことを必死にやってると思うけど、ワンピクがあるから、自分のやらなきゃいけないことはやるけど、それ以外はワンピクを1番に考えてます。
──傳さんと鹿沼さんは、田辺さんにとってそれぞれどんな存在か教えてもらえますか?
田辺 : 傳ちゃんは最年少なんですけど、いざというときに人の変化に1番最初に気付いてくれるんです。髪の毛を切ってきたら「髪切ったでしょ?」とか。まあ、たまに間違ってるときもあるんですけど。「切ってないよ?」って(笑)。体調が悪いときとかも、「大丈夫?」って、傳ちゃんが1番最初に気付いてくれます。それと、私の中では、傳ちゃんの顔が1番好みなんです。私、キレイ系の顔に憧れてるから、傳ちゃんの顔がすごく好みで。傳ちゃんはしっかりしているし、でもたまに抜けてるし、もう可愛くて。それとダンスも上手いし、ああなりたいなって思ってます。
亜美は、撮影とかで私と傳ちゃんの後から現場に来ると、一気にその場の雰囲気が変わって明るくなるんです。スタッフさんたちも、「亜美ちゃんが来ると雰囲気変わるね」って言っていて。私にはそういう力がないから、いいなって思います。「いるだけで楽しい」みたいな。たまに本人も、「私がいると楽しい」って自分で言っちゃってますけど(笑)。でも本当にそうだなって。亜美は、兄弟の中で長女なので、結構しっかりしているんですよ。
──3人を姉妹だとしたら、どういう順番になると思いますか?
田辺 : 「長女・亜美、次女・傳ちゃん、三女・私」じゃないですか。たぶん、私は亜美みたいに長女的な振る舞いはできないなって。実際にも末っ子ですし、傳ちゃんにも「ななみんは本当に末っ子だよね」って言われてます(笑)。
──メジャー2ndシングル「Sparkle」のMVを拝見したんですけど、前半は大人っぽい感じで、サビでガラッと変わって。これまでとはだいぶ印象が違いました。
田辺 : そうなんですよ。今回は、デビュー・シングルの「LAGRIMA」とは全然違う曲で。今までは、ファンの方に「ワンピクを見せる」っていう感じだったんですけど、今回の曲は見せるところは見せるけど、一緒に楽しみたいっていうか、カワイイ振りとかサビは楽しいっていう、普段のワンピクに近づいた感じです。
──これまでちょっと離れてたところから、距離を縮めたというか。
田辺 : そうです、ちょっと気取ってたところを緩和させたというか(笑)。今までと違う感じだし、夏曲です。歌詞も、水しぶきとか、明るくてキャッチーだなって。今まで気取ってた分、今回は明るいONEPIXCELが見える新曲だと思います。クールなイメージもONEPIXCELだけど、明るい面もあるよって知ってほしいですね。
──これからONEPIXCELをどんなグループにしていきたいですか?
田辺 : 型にはまりたくないです。「こうしなさい」って、無理矢理やらされてるようなグループにはなりたくないですね。全部じゃないですけど、自分たちのアイデアも活かしてやっていけたらいいなって思います。大人の方が許してくれる範囲で(笑)。
──目標はありますか?
田辺 : 1つ1つのライヴを大切に、100%を出せるようになりたいなって思います。「今日はあんまり上手く歌えなかったな」って落ち込むことがあっても、最近は「次は良くなろう」って心がけていますし、毎回100%の力を出せるように頑張りたいです。
>>>傳彩夏へのインタヴューはこちらから
>>>鹿沼亜美へのインタヴューはこちらから
PROFILE
ONEPIXCEL(ワンピクセル)

3人組ガールズ・グループ、 2015年9月20日結成。2016年6月22日にインディーズ・ミニ・アルバム『ZERO』をリリース。その後『TONDEKE / Analoganize』『Time』2枚のシングルをリリースし2017年10月18日にフル・アルバム『monochrome』をリリース、エレクトロダンス・ナンバーからヘビーなギターチューンまで収録されたクオリティの高いJ-POPアルバムが評価される。ライヴに関してもワンマン、イベントと積極的に活動、2017年はアイドル大型フェス〈TOKYO IDOL FESTIVAL 2017〉や〈@JAM EXPO 2017〉を始め数々のイベントに出演しハイレベルなパフォーマンスと自然体のMCで多くの観客を魅了する。2018年3月7日シングル『LAGRIMA』でメジャー・デビュー。CG合成を一切使わずにスタジオでタイポグラフィーと色彩投影を駆使し撮影されたミュージックビデオはCX系アニメ「ドラゴンボール超」エンディング主題歌タイアップの話題もあり国内外で幅広く視聴されておりYouTubeの再生回数は200万を突破している。