2025/01/31 12:00

V.A.『Death Row Revue』

2022年にスヌープがオーナーとなって以降オクトーバー・ロンドンやジェーン・ハンドコックなどR&Bのリリースも活発なDeath Rawから、ソウルをコンセプトにしたコンピが到着。新顔アーティストによる心地よいステッパーズ、マーヴィンやエディ・ケンドリックスを思わせるチャーリー・ビリアルの楽曲に加えて既発曲やクリスマス・ソングがあったりと作りは雑多だが、ホストを務めるスヌープのソウル趣味が上手く反映された好盤。極めつけはダニー・ボーイが歌うベーシック・ブラック"Special Kind Of Fool"(1990年)のカヴァーで、30年経っても変わらず瑞々しいダニーの歌声に耳を奪われる。(Yacheemi)

SAULT 『Acts of Faith』

プロデューサー・インフローを中心とする謎多きグループが、7月にインターネット上でWAVファイルとして期間限定公開していた新作を正式にリリース。9曲32分という短めの尺ながら、アルバム全体でひとつの楽曲をなしているような統一感が感じられる。SAULTに深い関りがあると明かされたクレオ・ソルやクロニックスによるヴィンテージ感あるヴォーカル含め、今作は一段とソウルやゴスペルの色が濃い。特に最後の“Pray for Me”などは壮大なゴスペル調の曲で、現代から過去を回顧していくグループのヴィジョンが伝わってくる。“I Look For You”や“Someone To Love You”の、70年代にルーツを求めたようなリズムも然り。ただ、“Soul Clean”のやや歪なサウンド・プロダクションは現代的なニュアンスも感じられ、遊び心を忘れないのがSAULTらしい。(つやちゃん)

SadBoi 『DRY CRY』

SAULTとは対極にあるような、エッジの立った盤も紹介。SadBoiは、リアーナのSavage X Fentyのモデルも務めているカナダ出身のアーティストで、この度アトランタ拠点のR&B/ヒップホップ・レーベル〈LVRN Records〉から本作をリリースした。他に6LACKやサマー・ウォーカー、dvsnらが所属しているレーベルで、彼らよりも攻めた音楽スタイルで歌とラップを行き来し畳みかける目まぐるしさが面白い。サウンドの幅も、ドリルからカリビアンビーツまでかなり幅広い。R&B Lovers Clubとしては、Cash Cobainを客演に迎えスウィートな歌唱を聴かせる“jane baby”、ポップ・ソングでもロマンスを忘れない“nana”、壮大な世界観を描く“2016”といった中盤の流れが必聴。今後の活躍にも期待が高まる、活きの良い新鋭の登場だ。(つやちゃん)

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