2025/01/31 12:00

REVIEWS : 090 R&B(2025年1月)──R&B Lovers Club(Cookie、つやちゃん、アボかど、Yacheemi)

"REVIEWS"は「ココに来ればなにかしらおもしろい新譜に出会える」をモットーに、さまざまな書き手がここ3ヶ月の新譜からエッセンシャルな9枚を選びレヴューする本コーナー。今回はR&B偏愛&紹介ポッセ、R&B Lovers Clubより、Cookie、つやちゃん、アボかど、Yacheemiの4人による、現行のR&Bのエッセンシャルな新譜9枚のレヴューをお届けしおます。


OTOTOY REVIEWS 090
『R&B(2025年1月)』
文 : R&B Lovers Club(Cookie、つやちゃん、アボかど、Yacheemi)

Rotimi 『In My Heart In My Veins』

ナイジェリア系アメリカ人シンガーのロティミは、2010年代後半からアメリカのR&Bとアフロビーツを繋ぐような音楽を聴かせてきた。『In My Heart』と『In My Veins』の2枚組となった本作でも、歌い方・サウンド共にそのふたつのシーンを自由に横断している。ログドラムも入る現行アフロビーツに振り切ったスタイルのディスク2も面白いが、R&B Lovers Club的にはトラップ・ソウルや真っすぐなR&Bも聴けるディスク1を推したい。ディスク1後半の“Grenada Beach” “Time Ain't On Our Side” “Dear Imani”の熱唱R&B三連発には悶絶必至だ。(アボかど)

Tuxedo『Tuxedo IV』

メイヤー・ホーソーンとジェイク・ワンによるブギー系ユニットのタキシードは、気付いたら2019年以来アルバムをリリースしていなかった。その間にメイヤー・ホーソーンはヴィンテージ・ソウル系のアルバムをリリース。ジェイク・ワンはフリーウェイやヤング・ヌーディなどの作品で、ブーンバップやトラップといったブギー以外の引き出しを見せていた。しかし、5年ぶりとなった本作では以前と変わらぬブギー道を邁進。ネイト・ドッグっぽい歌い方を交えてDJバトルキャットのトークボックスと絡む“Hold Up”、DJクイック・オマージュ的なタイトルの“Jake’s Groove”などではGファンク文脈も覗かせている。(アボかど)

Denise Julia 『Sweet Nothings (Chapter 2)』

今アジアのR&Bシーンで注目したい存在が、フィリピンのシンガー、Denise Juliaだ。2022年にTikTokで“NVMD”がバイラル・ヒットを記録し、SNSを主戦場にその名を広めてきた。デビュー作『Sweet Nothings (Chapter 1)』の続編にあたる本作は、恋愛の喜びや痛みを繊細に描いている。自身のカミングアウト経験も影響しており、前作以上にパーソナルでオープンな作品に仕上がっているという。伝統的なR&Bを感じさせるリッチなスロージャムを基盤にしながら、アトラン・タベース調の“(boy it’s just) attraction”など、トレンディな感覚もクロスオーバーしているのが良い。(Cookie)

TOP