楽曲を作るプロセスを一緒に体験できたことは大きい
──今作について、ハイレゾでのこだわりはありますか?
菊地:マスタリングのときに、48kHzのと96kHzのものが混ざっていたので、48kHzのは96kHzにアップ・コンバートして、アナログを通してDSDでキャプチャー。最後のアナログの段階の時に、AVALON DESIGN AD2055、EQのつまみの部分をREQST製に自分で改造したものを使いました。音がより掴みやすく見えやすくなるんですよね。
──なるほど。
菊地:特に大きな音質の変化を狙った訳では無いのですが、アナログのEQに通すだけでもギラっとしたアナログ独特の良さが加わるので、そういう意味でちょっとだけ味付けした感じですかね。

一ノ瀬:今回はマスタリングを外部に出してないんですよね、そこも特徴で。普通はアーティストでエンジニアを兼任してても、マスタリングは外に出すケースが多いのですが・・。
菊地:その代わり、客観性がなくなっちゃうっていうのが心配でしたけどね(笑)。
一ノ瀬:今回はむしろ菊地さんにやってもらった方がいいかなという話になりまして。今回も配信オンリーですし、ハイレゾでも楽しんで欲しいので、その方がいいかなと思って。
──今回のコラボレーションで改めて感じた部分はありますか?
riya:私は元々一ノ瀬さんのファンだったので、ご一緒できたことがまず嬉しかったです。eufoniusとして歌っている曲も難しいものが多いですが、それとは違ったベクトルで難しかったですね。そういう意味でスキル的に、また一つ上乗せさせていただけたのかなというのはあります。いい経験をさせていただきました。
菊地:なかなか作曲家同士って相手のトラックとかスコアとか譜面を見る機会がそんなになかったりするので、勉強になりました。もらった曲からインスピレーションを受けるってこともなかったと思うので、楽しかったですね。
一ノ瀬:単純に一緒に作ろうねって雑談はみんなしてると思うんですよ。でも、実際はやらないとわからないことはいっぱいあって、トライして初めて見えたことがたくさんありますね。楽曲を作るプロセスを一緒に体験できたことはやっぱり大きいかな。自分がこれから他の仕事をしていくにしても「あそこでこういうやり方をしてたな」ってことで、なにかいい影響がありそうな予感はあります。その面だけでも、やった価値があったなと思っています。
編集 : 津田結衣
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PROFILE:eufonius
ボーカルriyaとサウンドプロデューサー菊地創による音楽ユニット。 2004年のメジャーデビュー以来「CLANNAD」「true tears」「ヨスガノソラ」等、数々のアニメ&ゲーム主題歌、BGMを担当。 透明感溢れるボーカル&サウンドメイク、ドラマチックでオリジナリティ溢れるメロディメイクが魅力。
■公式HP http://www.eufonius.net/
PROFILE:一ノ瀬響
1972年、東京生まれ。東京芸術大学音楽学部作曲科卒業、同大学大学院音楽研究科修士課程修了。大学在学中より現代音楽の作曲家として活動をスタートさせる。2002年、独自の豊穣なエレクトロニクスミュージックにより、半野喜弘がA&Rを務めるCurrentレーベルより初のソロアルバム「よろこびの機械」をリリースする。以降、「Lontano」(cubicmusic, 2004年)、”Protoplasm”(starnetmuzik, 2007年)、”Earthrise 2064″(Plop/Mu-nest, 2011年)と合計4枚のソロアルバムを制作、UKの音楽雑誌”WIRE”の特集にて年間ベストアルバムの1枚に選ばれるなど、ヨーロッパをはじめとする海外から高い評価を受ける。またソロ活動以外にも数々の先鋭的なCM音楽の作曲やアーティストとのコラボレーション、インスタレーションのサウンドプログラミングまで、常に音と音楽の境界を探るジャンル横断的活動を展開している。
■公式HP https://kyo-ichinose.net/
■公式ツイッター https://twitter.com/kyo_ichinose