2018/08/13 20:00

【連載】Episode11 MiDORiKO EMPiRE インタヴュー「どんどん貪欲になっていっています」

MiDORiKO EMPiRE

BiS、BiSH、GANG PARADEを手がけるプロダクション・WACKと、エイベックス・エンタテインメント株式会社によるアイドル・グループ、EMPiRE!! 2018年4月にリリースされた1stフル・アルバム『THE EMPiRE STRiKES START!!』はカセットテープにも関わらずオリコンデイリー4位、週間7位を獲得。2018年5月には新メンバー2人を加え、満員のマイナビBLITZ赤坂にて初ワンマンが行われた。現在初の単独ツアーを開催し、9月4日(火)にはマイナビBLITZ赤坂で再びワンマンを行うEMPiREの2周目の個別インタヴューを敢行!! 第3回はMiDORiKO EMPiREの言葉をお届けする。

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EMPiRE / THE EMPiRE STRiKES START!!

THE EMPiRE STRiKES START!!

EMPiRE

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【配信形態】
WAV、ALAC、FLAC(24bit/48kHz) / AAC
【価格】
単曲 540円(税込) / まとめ 1,500円(税込)

【収録曲】
1. FOR EXAMPLE??
2. Buttocks beat! beat!
3. Black to the dreamlight
4. MAD LOVE
5. Don't tell me why
6. TOKYO MOONLiGHT
7. EMPiRE is COMiNG
8. デッドバディ
9. LiTTLE BOY
10. コノ世界ノ片隅デ
11. アカルイミライ

EMPiRE / FOR EXAMPLE ?? [NEXT EDiTiON]＜OFFiCiAL ViDEO＞

EMPiRE / FOR EXAMPLE ?? [NEXT EDiTiON]＜OFFiCiAL ViDEO＞

INTERVIEW : MiDORiKO EMPiRE

EMPiREで活動を始めるまで、学校に行けずに部屋の壁を見て過ごしていたと、初めての単独インタヴューで語ったMiDORiKO EMPiRE。BiSHの全国ツアーへの帯同、YUiNA EMPiREのBiSへの完全移籍、1stフル・アルバム『THE EMPiRE STRiKES START!!』のリリース、新メンバー加入などを経て、自分でも思いがけずに感情が表に出る日々を送っているという。MiDORiKOはこの半年でどのような変化を見せたのか? この約半年間について訊いた。

取材&文 : 西澤裕郎
写真 : 外林健太

感情が揺さぶられて毎回泣いていました

──EMPiRE初の全国単独ツアーがはじまりました。初日の仙台公演の手応えはいかがでしたか?

MiDORiKO EMPiRE(以下、MiDORiKO) : 実はツアー1週間半前くらいに風邪をひいてしまって……。始めは熱中症かと思っていたんですけど、声がどんどん出なくなっていき、仙台はメンバーに助けられながら歌いました。

──そうだったんですね!? 風邪が治ってからの公演で挽回できていますか?

MiDORiKO : 名古屋はこれまでの中でいちばん楽しかったです。仙台のときとセットリストが変わったんですよ。アンコール前に「Buttocks beat! beat!」の３連発があって、追い込まれるまで全力でやったら、終わった瞬間に吐いてしまって。暑くて苦しくて限界まで振り絞った結果、ハイテンションになりました(笑)。

EMPiRE / Buttocks beat! beat!(THE EMPiRE STRiKES START!! at マイナビBLITZ赤坂)

──(笑)。久しぶりのインタヴューになるので、今年の頭から振り返っていきたいと思います。1月はBiSHのツアー帯同をしてオープニング・アクトとしてライヴをしました。BiSHのライヴを間近で見てどんなことを感じましたか?

MiDORiKO : 感情が揺さぶられて毎回泣いていました。この立場で言うのもおこがましいんですけど、BiSHと私たちとの差が悔しくて。清掃員(※BiSHファンの総称)は、とりあえず行っておこうみたいな義務感からじゃなくて、絶対にライヴを観たいんだって気持ちでワンマンに来ているんだろうなってすごく感じました。

──BiSHのメンバーが1箇所1箇所全力で臨んでいるからこそなんでしょうね。

MiDORiKO : ツアーって長いじゃないですか? 中盤でたるむとかってことも全然感じなかったし、本当に一公演一公演ぶつかっていっているんだなと思いました。誰かの体調が悪い時はメンバー同士でサポートをしていて、プロだなって。先輩の偉大さを感じたし、こんなに近くでこんなに刺激を与えてくれる存在がいてくれることがすごく嬉しいなと思いました。

──EMPiREのメンバー同士、ここまで一緒に過ごすのは初めてだったんですよね。

MiDORiKO : 私はずっと人といるのが苦手で、テンションの上がり下がりもいちばんひどかったと思うんです。ツアーを通して、お互いが見せていなかった嫌なところも見えてきたり、5人の距離感のバランスがわかってきたツアーでした。

──MiDORiKOは、どんな部分をメンバーに見せたんですか?

MiDORiKO : 私は日によって全然しゃべらなかったり、泣き出したりしていました。わりと他のメンバーも泣いていたりしていて、それが普通になりつつもあったから、そこまで動揺した感じもなかったんですけど（笑）。

──EMPiREは表向きそういう面を出さないグループですけど、MiDORiKO自身も、そういう部分を出さないようにしようって気持ちがある?

MiDORiKO : それは最近だんだん思ってきました。そもそもEMPiREに入る前は、そんなに感情が揺さぶられることがなかったし、全然泣いたこともなかったんですよ。それなのにEMPiREに入ってから、なんでこんなに泣いているんだろうと思って。BiSHのツアーに帯同させていただいているときにイライラすることがあってメンバーにつっかかったりしていたんですけど、最近丸くなってきました。別に気を遣っている訳じゃないんですけど (笑)。

──自分自身泣いたりすることは、新しい自分を知ることでもありますよね。

MiDORiKO : でも自分的には厄介でした。どんどん自分が更新されていく日々が続いていたので、それになかなか慣れなくて。

感情の強弱がつけられなかった

──3月にはWACK合宿オーディションがありました。EMPiREに新メンバーが入ること自体、どういうふうに思っていたんでしょう。

MiDORiKO : 誰が入るんだろうなあとか、どんな感じに変わっていくんだろうと思っていました。5人みんな性格が違うけど意外とバランスがとれていたので、新メンバーが入ってどうなるんだろうって。あまり深く考えていなかったです。

──ニコ生で合宿を観ていたと思うんですけど、注目していた子はいましたか？

MiDORiKO : avexのスタッフさんがMAHOちゃんに注目していたので、私も注目して見ていて。MiKiNAちゃんもEMPiREに入りそうだなって思っていました。あと、いつも応援してくれているファンの子も受けていたので、嬉しくてプレミアム会員を更新して観ていました(笑)。

──(笑)。MAHOとMiKiNAのどういうところにEMPiREっぽさを感じたんですか?

MiDORiKO : 2人ともネガティヴな感じではないじゃないですか? EMPiREって割と陽キャってイメージのグループだから、クラスのカーストの上位っぽい感じがしたので、EMPiREっぽいなって思いました。

──MiDORiKOは自分のことカーストの上の方だと思う?

MiDORiKO : いや、私は圏外ですよ。学校に行けていなかったので。小中の時はお化粧するのが早かったので割と明るい子たちのところにはいたんですけど(笑)、結局しゃべれないので、そこまでその子たちとも仲良くなかったんです。

──そう考えると、今はしゃべれるようになりましたよね。

MiDORiKO : 本当ですか? でもそれはあると思います。最近、合間を見つけて、中学校の友だちと会うようになったんですよ。EMPiRE以外の人とも会話をするようになったので、前より話せるようになりました。

──最初のころは、EMPiREのメンバーと話すのも緊張していた?

MiDORiKO : 緊張はしなかったんですけど、上手くしゃべれなかったです。今も何を言っているかわからないって言われるんですけど(笑)、それを受け入れてもらえるようになったので、勝手にしゃべれるようになりました。

──合宿オーディション最終日の〈WACK EXHiBiTiON〉で、新メンバーの発表とともに、YUiNAのBiSへの完全移籍が発表されました。

MiDORiKO : その直前くらいにYUiNAちゃんと2人でご飯に行ったんです。そこで「トレードとかあるのかな?」って話をしたんですけど、YUiNAちゃんが「絶対にEMPiREにいたい」って話していて。しかもそれは私と2人で話していたことなので、〈WACK EXHiBiTiON〉で完全移籍が発表された瞬間、頭が真っ白になりました。お客さんの前で泣きたくなかったんですけど、抑えきれないぐらい涙が出てきて。自分でも驚くくらいそのときのことを覚えていないんです。

──バックステージで、すごい顔をしていましたよね。話しかけられないくらいのオーラが出ていた。あのとき、どんな気持ちだったんでしょう?

MiDORiKO : みんなと一緒にいたくないと思っていました。よく一緒にいられるなって。でもその後にすぐ反省して申し訳なくなってきて、メンバーだったりスタッフさんだったりに、すみません、すみませんって言っていました。

──それこそ、そこまで感情を揺さぶられることってなかなかないですよね。

MiDORiKO : 揺さぶられ慣れていなかったので感情の強弱がつけられなかったんだと思います。新メンバーに申し訳ないとは思っていたんですけど、私は気を遣えなかったです。

──なんでYUiNAを移籍させるんだ!? っていう怒りが強かった?

MiDORiKO : 怒りではなかったです。渡辺(淳之介)さんを信じているので。その状況を受け入れられていなかったので、ごちゃごちゃな気持ちでした。

私も他のメンバーもいい意味で丸くなってきた

──4月11日には1stアルバム『THE EMPiRE STRiKES START!!』リリースがあり、5月1日にはマイナビBLITZ赤坂が決まっていました。そこに向けて、どんな気持ちで過ごしていったんでしょう。

MiDORiKO : 7人一緒にいることが多かったので、新体制になることも、5月1日で最後になることもあまり気にせずに練習していました。でも、練習で6人体制のビデオを撮るときに、YUiNAちゃんが隅で観ていて、本当に変わるんだなとふと思ってしんどくなりました。YUiNAちゃんも気を遣っていたと思うし。YU-Kiちゃんが「YUiNAちゃんがいちばんしんどいと思う」って言っていて、だから私もあまり気にしないようにしていました。

──前回のMiDORiKOさんへのインタヴューで、家でずっと壁を見ていたって話していましたよね。そのときの自分をいま振り返って、どう思いますか?

MiDORiKO : 特に何もないのにネガティヴになりすぎていたなと思います(笑)。別にどこにも行ってないし、誰かと接してそういう気持ちになったとかじゃないのに、なんでそんなにネガティヴになっていたんだろうって。

──そう考えるとEMPiREで活動し始めてMiDORiKO自身変わった?

MiDORiKO : 変わりました。入る前と、入ってからすぐと、少し活動した時期と、今で、全部違うんですよ。大変です(笑)。

──そのなかでずっと変わらない部分はありますか?

MiDORiKO : 自分ではあまり思いつかないですね。うーん… わからないですね。

──未知の世界に行きたい好奇心は変わらないのかなって。

MiDORiKO : それはありますね。むしろ、どんどん貪欲になっていっています。私的に、EMPiREの活動は「謙虚に貪欲」ってテーマでやっているんです。

──5月1日にはマイナビBLITZ赤坂で、5人体制最初で最後のワンマンと、6人体制始まりのワンマンが行われました。どういう気持ちで臨みましたか?

MiDORiKO : 前日にメンバーで話し合ったんですけど、新メンバーのMAHOちゃんが「楽しみたい」って言っていて。私は難しく考えようとしてたんですけど、その言葉で「あ、楽しむしかないんだな」と思って。YUiNAちゃんの移籍とか、新体制のことをあまり気にせずに臨みました。気にしすぎていたら自分が崩壊していただろうし、気にせずにやれてよかったと思います。それにふたつの体制を見てもらう日だったじゃないですか。5人体制も最高の状態で終わらせたかったけど、新体制はそれを上回らないとエージェント(※EMPiREファンの総称)たちがついて来てくれなくなっちゃうと思ったので、強気で新体制は臨みました。

──5人体制のライヴの出来はどうでしたか?

MiDORiKO : YUiNAちゃんのことはあまり気にしすぎず、自分がライヴを楽しむ気持ちでできました。良いのか悪いのかわからないけど楽しめた。ステージ上でボロボロ泣くことはなかったので。

──その直後に６人体制で同じセットリストでライヴを行いました。うまく気持ちや動きを切り替えられました?

MiDORiKO : 気持ちの部分では大丈夫だったんですけど、本番まで詰め詰めで、フォーメーションが染み込んでいなくて移動を結構間違えました(笑)。

──そのワンマンから約3ヶ月が過ぎました。いまのEMPiREの雰囲気はどんな感じでしょう?

MiDORiKO : さっき話したみたいに丸い。5人のときのインタビューでEMPiREは仲良いって言っていたんですけど、私もとんがりすぎていたし、そんなでもなかったと思うんです(笑)。でも私も他のメンバーもいい意味で丸くなってきて、仲良いと思います。

──今回2周目の個別インタビューで1人1人と話してみて、個性が出てきた気がします。最初はみんな自分の出し方がわかっていなかったというか。

MiDORiKO : それはいまも悩み続けているんです。話し合いの度に個性が大事だって話していて。フォロワーを伸ばすにしても個性が大事じゃないですか? 自分の個性はなんだろうって、メンバー全員めちゃくちゃ悩んでいます。いまも見つけられてはいないんですけど、少しずつ個性は出てきているなとは思います。飛び抜けた個性っていうわけではないけど、形容しがたい個性があると感じます。

絶対に前回以上のものを更新しないといけない

──ツアーでは、お客さんと距離の近いライヴハウスでやることも多いですよね。今まで大きなハコばかりでしたけど、そういうライヴはどうですか?

MiDORiKO : 大きいハコは大群に圧をどすんってかけられてる感じがするんですけど、小さいハコは圧のかけられ方が違う気がします。戦う距離が近くなったって感じ。

──ライヴは戦っているイメージ?

MiDORiKO : 戦っているわけではないんですけど、なんて説明したらいいのかな。小さい会場だと1人1人の熱がすごい伝わってくるんです。

──ライヴ以外の特典会でエージェントの人たちとはうまく話せていますか?

MiDORiKO : 特典会は、他のメンバーと2人ペアを組んでするんですけど、そのときも私がボソボソしゃべるから聞き取ってもらえなくて。何を言っているかわからないってすごく言われるんですよ(笑)。それを見てYU-Kiちゃんが笑っていたり、エージェントにも何言っているかわからないって返されちゃったり。でも、私と似ている雰囲気の子が多いです。YU-Kiちゃんも言っていました。

──どういう部分が、MiDORiKOに似ていると思うんでしょう?

MiDORiKO : 話が噛み合っていないところかな(笑)。

──(笑)。上手く言葉に出せないとMiDORiKOさんは思っているかもしれないけど、こうやって話すといろんなこと考えているのが伝わってきますよ。

MiDORiKO : だから、話したいことを伝えられなかったなあと思うことも多くて。来てくれる人のことを結構覚えているんですよ。だから次に会った時、あの人にあれを話そうと思っているんですけど、話せなかったときはひとりでしょげてます。あ、忘れちゃったって。

──ツアーの名古屋公演で限界を超えるライヴをしたわけですけど、体力をつけていかないとですね。

MiDORiKO : ツアー初日の仙台はどれくらい疲れるのかわからなかったので、全部上の中ぐらいの勢いでやっていたんですよ。次の福岡のときは、はじめに飛ばしすぎると声が出なくなるということを考えつつ、計算してやったら体力が有り余ってしまって、最後の最後でめちゃくちゃ踊るみたいな感じだったんです。だから名古屋は調整とか考えずやったら、死にそうにはなったんですけど楽しかった。それを続けていけば体力はつくと思っていて。まずは体力をつけていきたいです。

──9月4日には、ツアー・ファイナルとして再びマイナビBLITZ赤坂でのワンマンを行います。どんなライヴにしたいですか?

MiDORiKO : 絶対に前回以上のものを更新しないといけないと思っています。まだチケットが売り切れていないことに焦りを感じています。単純に言うと、前回のワンマンを観に来てくれた人が観に来てくれないから埋まらないってことじゃないですか? 新しい方に来てもらいたいし、前回観てもらった方にもツアーで成長した集大成を観ていただきたい。私、このツアーが始まる前、ライヴが楽しめなくて、ライヴの前に泣いていたりしてたんですよ。今回のツアーは自分が楽しめるようになろうっていうのを目標にしてやっていっているんです。

──どうして楽しめなかったんですか。

MiDORiKO : 自分のスキルが圧倒的に低くて、それを気にしすぎて楽しめなくて泣いていたんです。最近、たまに昔の動画を見るんですよ。そうするといまの動画と比較して変わったところに気づけて。それを喜びにして、もっと上にいこうって気持ちになるんです。よく、誰をライバル意識していますかって聞かれるんですけど、そういうのはないんですよね。MiDORiKO EMPiREはMiDORiKO EMPiREっていう枠で考えようとしているし、無理矢理にでも変化を見つけ出して、日々変化を出しながらやっていきたいです。