GOLLIPOP RECORDという世界観の中にGARUDAがもしいたら?
──かなり紆余曲折があったんですね。
それまで自信がなかったんですよ。急にひとりになってしまって何が正解なのか分からなかったですし。手探りでやっていた状態からステージングもその制作チームの方に相談したりして。だから2020年のレコ発あたりからだいぶステージングや歌唱力が変わったと思います。みなさんのお力があって今の私があります。それこそヴィジュアル面もそうですし。
──ヴィジュアル面で気になるところがあるんですが、釘バットはめちゃくちゃパンチありますよね。
GARUDAとしてデヴューしてからしばらくはすごく迷走していて。めろん関係で知り合った人に、「世界観を伝えるために、わかりやすいヴィジュアルがあった方がいいんじゃないか」と言われたんですよ。マネキンを黒に塗装して釘をさして並べたり、手のマネキンを宙吊りで吊るしたり、世界観をどうにか作っていました。そういう間になぜか「釘バットがいいんじゃないか!」と思ったんですよ。なんでそうなったか覚えてないですけど、それがかっこいいと思ったのかもしれないです(笑)。

──黒い羽はいつ頃からつけているんですか?
2019年の今頃に、イギリスツアーの話があって。2&のSakiちゃんと十四代目トイレの花子さんといくオファーをいただいたんです。せっかくイギリスに行くなら景気付けに何か分かりやすいものをつけた方がいいなと思って、羽根をつけました。ラムシュタインを見て、「これだ! 」って。本当は火炎放射器もつけたかったんですけど、さすがに難しくて(笑)。
──そうですよね(笑)。羽はかなり作り込まれた仕上がりになっていますよね。
109の地下一階にTAKARAYAというお店があるんですけど、そこで新しい衣装に使えるもの何かないかなと思って探していたんですよ。それで、そのお店のオーナーさんと仲良くなって、自分の活動のことを話したらすごく面白がってくれたんです。それで相談したら、羽根を作ってくれました。
──GARUDAはペストマスクも印象的ですよね。
初期の頃はスチームパンクのマスクで、メガネの部分がライトに光るような被り物をしてライヴをしていたんです。でもそれが壊れちゃって、そこからペストマスクです。GARUDAの世界観を作るためには必要でした。私がすごいんじゃなくて、周りの人が私の夢を叶えてくれている感じです。
──4月2日には、GOLLIPOP RECORDとのタイアップミニアルバム『Phoenix of Resurrection』が発売されます。今作はどういう立ち位置の作品なんですか?
今回は、プロデューサーの木下さんが言うには、コンセプトとしては「GOLLIPOP RECORDという世界観の中にGARUDAがもしいたら?」というものを描きたかったみたいなんですよ。めろんの前作『BLACK MELON』、『WHITE MELON』で、一回区切りを迎えて、じゃあこのタイミングでGARUDAとのタイアップをしてみたいと木下さんが持ち込んでくれました。最初は戸惑いがあったんですけど、「GARUDAのフォーマットをいじることはしないけど、楽曲とプロデュースはレーベルに任せてほしい」と話してくれたので、OKしました。
──確かに、ポスターヴィジュアルはまさにGOLLIPOP RECORDっぽいものに仕上がっています。
そうですよね。木下さんのハーレーダビッドソンを借りて撮影しています(笑)。でもすごくかっこいいですよね。ロゴもタイアップ用に変わりました。自分はゴスっぽいものやインダストリアルなものが好きだから、ダークめなテイストで打ち出していたんですけど、違う世界線のかっこよさを知れました。パンツスタイルの衣装も、最初は抵抗がありましたけど(笑)。

──めろんでの衣装もスカートですもんね。
スカートオンリーですし、私服でもスカートばっかりなんですよ。たまたま、めろんの予定のときにパンツスタイルを着ていったら、「パンツも似合うじゃん!」となって、そこからこの衣装のアイディアが生まれたらしいです。松本零士さんのクイーン・エメラルダスをイメージして作ったらしいですよ。あとはシャア(・アスナブル)とセイレーンの要素も入ってる。でも、パンツスタイルで踊るのは戸惑いがすごいですね。GARUDAの姿なのに、めろんとしてニコニコしているのが違和感あります。
──GARUDAとしての自分と、めろん畑a go goの自分では、やっぱりライヴするときの意識は変わりますか?
変わりますね。まずポジションも違うじゃないですか。めろんとしては、パンチ担当というか、煽りを率先してやるようなポジションですし。めろんだと、メンバーに頼ってもいい部分もあるから、ちょっと自由ですね。単純に気負うことが少なくなります。

──一方GARUDAだと、責任やプレッシャーも自分に全部降りかかってくると。
ステージングが全部自分に跳ね返ってきます。少しの綻びが全部見えちゃいますね。だからガチガチにやらなきゃという気持ちは昔ありました。今は本数を重ねて、少し気が楽になりましたけど、出る前のプレッシャーがすごくて泣いちゃったこともありますよ。
──なるほど。楽曲についても聞かせてください。まず1曲目の “REINCARNATION”は「sacrifice」というコーラスが、すごくパンチの効いた楽曲ですね。
これは木下さんが書いてくれました。“REINCARNATION”と“TAIL OF DEMON BIRD”は完全オリジナルです。インダストリアルとニューメタルを意識して作ったみたいです。歌詞と合わせて自分では作らない感じの楽曲だったので、そうきたか、と思って思わず笑っちゃいました。
──逆に自分で作る方向のメタルはどういうものなんですか?
洋楽とゲーム音楽を意識して作ることが多いですね。これまで作った“POSER”はゲーム音楽で、“SILENT KILL”も洋楽からインスパイアを受けています。
──なるほど。“REINCARNATION”は本当にニューメタルからの影響を強く感じます。
これを聴いたとき、自分では書けない感じの詞だったので、GARUDAってこういう歌を歌っている雰囲気をイメージされているのかなと思いました。普段は「鮮血に身を染めて......」みたいなことは歌ってないのですが、ジャンルやキャラクターでそう連想されているのかなと。
──たしかに。「亡霊どもよ/滅びの笛を/恐れ慄け」という歌詞もありますし(笑)。
面白いですよね(笑)。一緒に歌ってほしいです。 “REINCARNATION”と“FLY HIGH AGAIN”のMVには、めろん畑a go goもThe Grateful A mogAAAzも出るんですよ。“REINCARNATION”は「転生」という意味なんですけど、“REINCARNATION”のMVでは、どうやら私は1回死ぬらしくて(笑)。“REINCARNATION”はGARUDAの“支配者”という曲のMVを撮った場所と同じところで撮影していて、しかも最初に倒れているシーンも踏襲しているらしいですよ。そこから私がゾンビ化して復活するんです。
──そういうストーリーなんですね。
“FLY HIGH AGAIN”は曲のテーマが不死鳥なので、“REINCARNATION”で転生して、“FLY HIGH AGAIN”でもう1回飛ぶという風に全部つながっています。私も元々羽を背負ってGARUDAをやっているので、マルチバース的に世界観がつながるというイメージです。
──“FLY HIGH AGAIN”もコンセプチュアルな楽曲に仕上がっていますよね。
“FLY HIGH AGAIN”と“PSYCHO SPEEDUMB”はROBINさんのカバーです。去年の10月にTHE MONSTER A GOGO'Sさんとライヴで一緒だった日があったんですけど、ROBINのメンバーでもあるHIROSHIさんの前でこの曲を歌うのはプレッシャーがすごかったです。ライヴが終わった後に、HIROSHIさんと楽屋でお話しさせていただいて「ステージング、成長したね」って褒めてくれました。色々優しい言葉をかけてくださるから、本人の前でもボロボロ泣いてしまいましたね。