夏が嫌いな人も一緒に夏を過ごせるような曲
──時折入る映像もインパクトがすごかったです。
宇城 : 映像も古正寺が作ってくれたんですよ。
古正寺 : 私が作りました。今回はその映像のためにスタッフさんが会場を選んでくれたんです。私はやりたいことができたので、他のメンバーのやりたいことも今後のライヴでできるようになったらいいなと思いますね。
紫凰 : 『Calling box/いもうと』と『怪獣GIGA/レディースコミック』の世界を、古正寺が深めてくれた印象があります。その世界をMAPAとして、よりコンセプチュアルに深めていけたのは楽しかったですね。“レディースクリニック”のMVの冒頭に、ポエトリー・リーディングの部分が出てくるんです。ライヴではそこを私が担当したんですけど、そういう経験も個人的には貴重でした。でも私は表現することにのめり込みすぎちゃって、思ったのと違う方向にいってしまうことが多いので、曲の伝えたい部分をどう出すかということを考えました。
古正寺 : ゆすらは個性が強いので、もしMAPAの曲じゃなくて例えば国歌を歌っても、ゆすらっぽくなると思うんですよ。色が薄いよりはいいと思うときもあるんですけど、ゆすらはその加減が取りにくいイメージがありますね(笑)。修正できるときはするんですけど、全く制御不能のときもあります(笑)。
紫凰 : いやー、表現を調整するレバーが極端なんですよね(笑)。
古正寺 : “レディースクリニック”のポエトリーに関しては、要望を言ったらそのままやってくれたので、「こうしてほしい」があったら意外とやってくれるのかなと。これからもいろんな面を見ていきたいですね。

──7月25日には新曲『SUMMER SHOOTER/らぶぴ』がリリースされます。今回も、衣装はデビュー時から衣装制作を担当し続けているファッションブランド「AMNI」が手がけていますね。
古正寺 : 衣装、可愛いんですよね。衣装もジャケットもほぼ同じメンバーで作っているので、どんどん良いものができていっていると思いますね。初めましてだと時間がかかるので。今回は3分くらいで方針が決まりました。
──“SUMMER SHOOTER”は疾走感あふれるロック調のナンバーですが、夏らしい曲はMAPAでは珍しいですよね。
古正寺 : そうですね。アルバム『四天王』には、“真夏の卒業式”という曲があったんですけど、バラードだったので全然印象が違いますね。
宇城 : “SUMMER SHOOTER”はかなり好きな曲ですね。一見爽やかな夏曲なんですけど、歌詞を見てみるとただの爽やかな曲なだけじゃなくて、夏が嫌いな人も一緒に夏を過ごせるような曲になっています。私は本当に夏が嫌いなので、この曲ができたことが本当に嬉しいですし、歌詞にも共感することが多いですね。
──なるほど。古正寺さんの歌詞も含まれていますよね。
古正寺 : 大森(靖子)さんと共作で、「夏祭りの記憶も〜この夏だけ」の部分を私が書きました。大森さんとよくゲームの「スプラトゥーン」をするんです。だからこの曲は、「スプラトゥーン」をイメージして作りましたね。「スプラトゥーン」も画面上は夏っぽいですけど、実際プレイしているときは家にいるじゃないですか。そういうこともイメージしつつ。メッセージ性の強い歌詞がMAPAぽいなと思います。
──なるほど! 「スプラトゥーン」のイメージなんですね。
古正寺 : そうなんですよ。全世界に向けてというより、あなたに向けて歌っているのがMAPAぽいなと思います。
神西 : 古正寺が書いた「夏祭りの記憶も薄れてきた 金魚すくいって子どもの頃にしか無いのかな」という歌詞を私が歌っているんですけど、ちょーわかると思って共感しています。子どもの頃は金魚すくいしていたのに、今は素通りしているから、いつからやらなくなっちゃったのかなと思いました。
古正寺 : 私も最近金魚すくいやらないなと思って書きました。
──もう金魚すくいはやらないんですか?
神西 : やらないですね。なんかちょっと可哀想だし。
