いま生きている人たちが、自分のなかでベストな人生を歩んでほしい
──アルバムに収録される12曲はどのように選ばれたんですか?
千陽:たくさん作ったなかから選んだ曲という感じではなくて、この12曲を作ったという感じでした。「こういう曲を作ろう」と狙ったこともなくて、ひたすら感情を入れ込むことができる曲を作っていきました。自分の思い出や気持ちから派生した曲たちです。
ひな:曲順は凄く迷ったんですよね。最後の3曲……10曲目“アイユエ“、11曲目“ごめん、ありがとう。“、12曲目“6畳1Kとジャズマスター“の並びは、私が「これは譲れない」と言って決めさせてもらった並びで。10曲目と11曲目は千陽ちゃんの両親の曲なんですけど、お母さんへの思いを歌った曲、お父さんへの思いを歌った曲、そして、千陽ちゃんの曲。そういう並びでアルバムを締めてほしいなと思ったんです。
──結果として、とても強い意志を歌う曲ではじまり終わっていくアルバムのように感じました。アルバムの幕開けを飾る“明日が最後でもいいと思えるように“には、どのような思いを込めましたか?
千陽:バンドをやっていると、馬鹿にされることが凄く多くて。友達にも子供がいたりするし、「いつまでやっているの?」と言われることも多いんですよね。その人たちの生活を私は知らないけど、でも、少なくとも私は1日1日をもの凄く大事にしながら生きているんですよ。バンドって永遠にできるものではない、絶対にいつかは終るものじゃないですか。いつか振り返った時に「あの日、ああしておけばよかった」と思いたくないし、毎日バンドのことを考えて、その日その日でしっかり結果を出す毎日にしていかないと、自分が求めている環境は整わない。無駄のない1日1日を全力で生きることに、私は向き合ってきたと思うんです。そのことを自分のなかだけで留めておくことは、勿体ないなと思ったんですよね。
──自分の生き方を通して得たことを外に伝えるために、曲にした?
千陽:ちょっと前まで予備校で働いていたので、毎日生徒と顔を合わせて話をしていたんです。そこで、受験という目標があるのに全力を出すことができていない子たちを見ると、勿体ないなと思うこともあったんですよね。そういう子たちに1日1日を大切に生きることをわかってほしいと思ったし、あと、この曲を書いていた頃は親とバッチバチに揉めていたんです(笑)。私の親は堅苦しい考え方を持っていて、一般的な会社に就職して、何歳までに結婚して、子供がいて……という人生じゃないと幸せとはいえない、という考え方の人で。でも、そうではないじゃないですか。いろんな人生があって、なにを幸せと思うか、なにを楽しいと思うかって、人それぞれだから。私は私で考えて生きていて、いまの生活に対して幸せを見出しているんだよということを、親に伝えたいと思ってできた曲でもありますね。
──自分のような生き方を選んだ人間が、下の世代や目の前にいる人に伝えられることがあるのなら、それはちゃんと伝えたい、という気持ちが今の千陽さんには強くあるんですね。
千陽:そうですね。私自身、いろんな人のおかげでいい方向に変わることができてきたと思うんです。まだまだ30歳を超えても性格や考え方は変えられるんだということを、身をもって学んできたので。だからこそ、「私はこうだから」と決め込んじゃったまま生きている人を見ると、勿体ないなと思う。そういう人たちに自分から伝えられることは、音楽を通してなり、ライヴを通してなり、わかってもらえるように伝えようと思いました。自分だけじゃなくて、いま生きている人たちが、自分のなかでベストな人生を歩んでほしいなと思うので。
──このアルバムのタイトルは『i my me mine』ですが、単数形の主語を3人が背負っているところもいいなと思います。『we our us ours』ではない。でも、これはこの3人が背負うべき音楽である、という。
ひな:ああ、たしかに。
美寿々:nolalaがどういうバンドかを伝えているというよりは、私たち個人個人がどういう人間かを伝えている、というイメージなのかな。「i my me mine」×3というか。
千陽:周りのバンドを見ると「i」よりも「we」が似合うバンドが多いんですよね。でも自分たちのことを考えると、3人それぞれがバラバラすぎるし、そんなまったく別物の3人が、ひとつのものを作り上げている。そういう意味で、「i」が似合うバンドだなって思います。

編集:梶野有希
色々な「i」を描いた、nolalaの初フル・アルバム
nolalaの過去作はこちらから
nolala ライヴ情報
nolala ファースト・フル・アルバム『I my me mine』〈飾らない私を愛してツアー〉
日付:5月13日(土)
場所:京都・LIVE HOUSE GATTACA
出演:MOCKEN / PLOT SCRAPS
日付:5月20日(土)
場所:新潟・GOLDEN PIGS BLACK STAGE
出演:KAKASHI / useless human being
日付:5月21日(日)
場所:宮城・仙台enn 3rd
出演:マイアミパーティ / SHIFT_CONTROL / PLOT SCRAPS
日付:5月28日(日)
場所:愛知・名古屋RAD SEVEN
出演:藍色アポロ / ハローモンテスキュー / LEODRAT
日付:6月3日(土)
場所:広島・ALMIGHTY
出演:ドラマチックアラスカ / 南風とクジラ / Arakezuri
日付:6月4日(日)
場所:福岡・Queblick
出演:ドラマチックアラスカ / snooty / ニイナ
日付:6月10日(土)
場所:北海道・BESSIE HALL
出演:MoLse / TRiFOLiUM
日付:6月18日(日)
場所:大阪・福島LIVE SQUARE 2nd LINE
出演:シナリオアート / CAT ATE HOTDOGS / Aily LULU
日付:6月24日(土)
場所:東京・shibuya eggman
出演:asayake no ato / UNLIMITS / 秀吉
PROFILE : nolala
京都のスリーピースガールズバンド、nolala。実体験から紡ぎ出される嘘偽りない言葉は 女子3人の身体を通すことでより純度の高い等身大の音楽へと変わる。
──「私は別れた彼氏を全員曲にするタイプです。」
Vo.Gt.千陽の20文字のツイートは、2万近くのいいねを獲得するほどのいわゆる 「バズ」を引き起こし、MVもセルフプロデュースとしては異例の15万回再生を突破。自主制作盤CDにも注文が殺到し、発売からわずか5ヶ月で完売。 再販するもわずか3ヶ月で完売し、手売りで合計900枚を完売させるという結果を残した。2021年7月日本コロムビアに所属となり、FAMILYPACK RECORDSより全国流通盤Single「ルームメイト」を発売。
■公式Twitter:https://twitter.com/n_o_l_a_l_a
■公式HP:https://nolala.jp/