
エリオット・スミスと共にバンド、ヒートマイザーで活動したサム・クームズと元スリーター・キニー/現ワイルド・フラッグのジャネット・ワイスにより結成され、フォーク、サイケ、カントリー、R&B、ノイズまでも飲み込む本能の赴くままの音で世界を魅了してきたクワージがニュー・アルバム『Mole City』をリリース! 結成20周年とは思えない、弾けまくったみずみずしいサウンドに注目!
Quasi / Mole City
【価格】
mp3、WAVともに 単曲 200円 / まとめ購入 1,500円
【Track List】
1. *
2. You Can Stay But You Got To Go
3. See You On Mars
4. Blasted
5. Chrome Duck
6. Chumps Of Chance
7. Fat Fanny Land
8. Nostalgia Kills
9. R.I.P
10. Headshrinker
11. Bedbug Town
12. The Goat
13. Geraldine
14. Loopy
15. Double Deuce
16. Gnot
17. Dust Of The Sun
18. Mole City
19. An Ice Cube In The Sun
20. One And Done
21. The Dying Man
22. Clap Trap
23. New Western Way
24. Beyond The Return Of The Sun Of Nowhere
思いついたことを本能のままに鳴らしている

今の日本の10代、20代でクワージというバンドを知っている人がどのくらいいるだろうか。クワージの日本での知名度は残念ながら高いとは言えないだろう。日本の音楽リスナーの洋楽離れによって、とくに80年代、90年代の洋楽インディーのアーティストはどんどん埋もれた存在になってしまっている。良いバンドがたくさんいるのに全く知られていないという事実はとても残念だ。時代の流れには逆らえないのだろうか。そんななか、3年半ぶりとなるニュー・アルバムをリリースしたクワージ。「ロックとはこうあるべき!」そんな風に決めつけてしまったらロックじゃないと言われてしまうかもしれないが、クワージの新作『Mole City』を聴いたらふと、そう思ってしまった。
巷のJ-ロック・バンドを聴いていて思うのは、音がまとまりすぎではないかということ。しっかり計算されていて、音も良い、ポップだし聴きやすい。もちろん悪いことではないのだけど、デビュー・アルバムなのに初期衝動の初の字も感じられないようなものが多くてビックリしている。音にしても、曲の構成にしてももっとぶっ壊れていていいのではないかと思う。日本人らしいといえばそうなのかもしれないが、やっぱりロックは本能に赴くまま自由に豪快にあってほしい。僕の中のロックンロールとはそういうものだ。
本題に戻るが、本作は結成20年を迎えたバンドの音とは思えないほど衝動的エネルギーに満ちあふれている。まず全24曲というヴォリュームが異常だ。短いインストの曲も数曲あるが、それでもここまでの大作はなかなかない。音が割れるほどまで歪ませた轟音ギターとそれに負けない豪快なドラムがデュオとは思えないほどの音圧の「You Can Stay But You Gotta Go」、荒々しくスリリングなガレージ・ロック「Blasted」、酔いどれ気味なキーボードが特徴のブルース曲「Fat Fanny Land」などロックだけでなくブルース、パンク、フォーク、カントリー、サイケやノイズまでやりたい放題! 思いついたことを本能のままに鳴らしている。目まぐるしく変わる楽曲と、音に圧倒されて24曲があっという間に終わってしまう。これぞまさにロックだ、そう思わずにはいられない。
結成から20年というベテランのバンドがこれほどまでにエネルギーに溢れた作品を作ったことで今の若いバンドやリスナーに喝を入れてくれるに違いない。最後に余談ですが、一番の驚きはこの二人が離婚した元夫婦だと言うこと。二人を離さなかった音楽の力はすごい。(text by 吉野敬一郎)
RECOMMEND
Yo La Tengo / Fade
USインディー界のカリスマとして世界中の音楽ファンから熱い支持を受けるヨ・ラ・テンゴ。前作『ポピュラー・ソングス』以来約3年強ぶり、通算13作目のスタジオ・アルバムとなるニュー・アルバムが日本先行リリース。長年の友人でもあるトータスの中心人物ジョン・マッケンタイア(ティーンエイジ・ファンクラブ、ブライト・アイズ他)をプロデューサーに迎えて完成させた、ヨ・ラ・テンゴの新たな傑作が完成!
SLEIGH BELLS / Bitter Rivals
iPhone 5cのCMに1st収録楽曲「Rill Rill」が起用され話題沸騰! M.I.A.にその才能を見出されたブルックリン発の男女ロック・エレクトロ・デュオ、スレイ・ベルズが待望のサード・アルバムをリリース! 破壊的で攻撃的な音はそのままに、デレクいわく前作と比べると「より高揚してポジティヴなもの」という今作は、まさにスレイ・ベルズ・ファンが求めていたそのものの作品!
Moools / Weather Sketch Modified
モールスの5thアルバム『Weather Sketch Modified』が、CDのリリースに先駆けてototoyで先行販売開始。今作は、トータル・タイム65分というバンド史上最長アルバム。生粋のライヴ・アクトであるモールスが4年をかけて熟成し、最早ライヴ・クラシックと化した全12曲が収録されています。OGRE YOU ASSHOLE『アルファベータvs.ラムダ』、YOMOYA『Yoi Toy』を手掛けたプロデューサー斉藤耕治&エンジニア多田聖樹の不動のプロダクション・チームとの共同作業による丹念な制作に加え、ブレント・アーノルド(Modest Mouse、Quasi他)、さや(テニスコーツ)やRyo Hamamotoなどのゲスト参加も作品にカラフルさを与えています。
PROFILE
Quasi
ヒートマイザー(エリオット・スミスらが在籍)でも活動していたサム・クームズ、元スリーター・キニー/現ワイルド・フラッグのジャネット・ワイスによる米ポートランドのロック・バンド。93年の結成から現在までに8枚のスタジオ・アルバムをリリース。2010年2月、8thアルバム『アメリカン・ゴング』をリリース。同月、東京のバンド、モールスと11年ぶりとなる日本ツアーを敢行した。