自分のルーツ寄りの曲もやってみたいという気持ちがより強くなりました
──ドラスティックな変化を起こしたサード・アルバムはアタルさんがいままでの作り方に飽きた以外で具体的な影響はあったんですか?
さわ:"本当の綺麗がわからない"かな?
アタル:うん。この曲がカップスターのタイアップみたいな曲(※)で、そこでちゃんと曲にしなきゃいけないって言われた時に「なるほど」と思ったきっかけもある。
※東京藝術大学の学生がMVを制作する、サンヨー食品「カップスター」によるプロジェクト〈NEXT GENERATION NEXT CREATION〉第2弾のコラボレーション・ソングに起用。サッポロ一番のYouTube公式チャンネルおよび特設キャンペーンサイトでは有馬彩創が監督を務めたMVが公開。(現在は非公開。)
──"本当の綺麗がわからない"は事前に尺が決まっていたそうですね。
アタル:はい。カップ麺にちなんで3分。
──3分っていうのは長かったですか?
アタル:頑張って長くしようとしましたね。それまで僕らは1、2分くらいの曲多かったので、30分尺のライヴでも12曲ぐらいできるぐらいなんかね?
さわ:ね。
アタル:でもすごい人達の映像を観ると曲としての感動もやっぱりあるのに、自分たちは全然ないし、なんか細かいパンチを打ってるみたいだなあと思って。なんかこれじゃ全然ダメだってなって。
さわ:なにかの曲を聴いて、「これぐらいやらなきゃダメだって思ったんだ」って言ってた。
アタル:そう。山ほどある。
──"本当の綺麗がわからないは、どっちかというとあおいさんのバックボーンが出てきてるんじゃないですか?"I Love you! Next to music"も大瀧さんのような。
アタル:うん、かなり寄せれたというか、大瀧さんにも影響を受けたので。
あおい:そうですね。私も改めて聴いたら本当にすごい曲ばっかだなと思うし、ちっちゃい時に聴いてたのとは全然違う感動もあって。そういう自分のルーツ寄りの曲もやってみたいという気持ちがより強くなりました。バンド内の音楽ブームをこの曲で取り入れてみようみたいな意識があったからこそ、今回はいろんな曲が生まれていったのかなって思います。

──なるほど。今作には新たにピアノが入ってますよね。しかも使い方もおもしろくて。それもあってパキッとしたロックンロールというより、サイケデリックな音像も出てるような気がします。
アタル:そうなんですよ。嬉しいです。
──ピアノは誰が弾いてるんですか?
アタル:僕が。
さわ:血だらけになりながら(笑)、何回も「これじゃない!」って。
アタル:あれ、なんていうんだっけ?
さわ:グリッサンド?
アタル:そうそう。それが全然できなくて(笑)。コードぐらいしか弾けないんですけど、やっぱり自分たちでやりたいからめちゃめちゃ練習して…。
さわ:めっちゃやり直してたよね(笑)。
──バンドで新しいアプローチをしていくなかでも特に意識したのは?
アタル:ファーストとセカンドは上から音を重ねたりもせずに本当にせーので録ったので、ライヴ音源みたいな感じだったんですけど、それがとにかく嫌で。でも足せばいいっていう問題でもないから、最新曲の"I Love you! next to music"は、本当に必要な物しか入れないと決めて、でも分厚くはして。トゲトゲした音じゃなくて面な音というか、一面な音みたいな感じを意識してます。
──さわさんはどうやって曲を掴んで行ったんですか?
さわ:例えばスライ&ザ・ファミリー・ストーンとかジェームス・ブラウンを知らずに過ごしてきたんですけど、そういうリズムをできるだけ落とし込んで、自然と気持ちいいものを出せるようにどの曲もそこは共通して練習しましたね。
──ミックスやアレンジにも「これはなんだ?」っていうおもしろさがすごいあったんです。それはバンドでアレンジしてるからこそですかね。
アタル:うーん。あんまり意識しなかったよね?
さわ:ね。
