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INTERVIEW : クレナズム

2018年に大学の同級生同士で結成された4人組バンド、クレナズム。シューゲイザーを主軸としつつ、エレクトロ、80’sポップ、ファンク、UKロックなど様々なジャンルに果敢にトライしてきたバンドで、初のフル・アルバム『日々は季節をめくって』はそういったトライの結晶というべき作品だ。ストリーミング配信サービスの隆盛により、あらゆる年代・ジャンルの音楽に手軽にアクセスできるようになった時代に青春を謳歌する若い4人が、「これカッコイイよね!」「やってみよう!」という無邪気さで奏でるオルタナティヴ・ハイブリッド・ポップ。4人全員が作詞作曲をするバンドだというのも大きな特徴だ。福岡のとある街で、まるで突然変異のように生まれたこのバンドの根源に迫るため、メンバー全員にインタヴュー。
インタヴュー・文 : 蜂須賀ちなみ
写真 : 西村満
音源は綺麗めに作るけど、ライヴでは激しくやろう
──以前ライヴを拝見したんですが、自分たちの音楽をしっかり聴かせる力のあるバンドだなと思いました。お客さんが集中してステージを見ていた姿も含めて印象に残っています。
一同:ありがとうございます。
──一方で、“明日には振り向いてよ”という曲がTikTokで話題になって、ポップな振り付けとともに拡散されている。自分たちの曲に合わせていろいろな人が楽しそうに踊っているのを見て、どう思いましたか?
しゅうた(Dr):嬉しかったですね。「わあ、僕たちの曲を使ってくれてる!」って。
萌映(Vo/Gt):振り付けもつけていだたいたし、「すごい、いまっぽい!」って思ったよね(笑)。
しゅうた:そうそう。シューゲイザーで踊ってくれる人ってなかなかいないから。
──その両面ある感じがおもしろいし、バンドの在りかたとしていまっぽいなと。みなさん自身は「なんだか不思議な現象が起きてるな」と感じたことはありませんか?
萌映:確かに。言われてみたら不思議なバランスではありますよね。
けんじろう(Gt):ライヴと音源のギャップに関しては意図的に作っているようなところはあって。
しゅうた:「音源は綺麗めに作るけど、ライヴでは激しくやろう」みたいな話は最初の頃からしていたよね。だから、もしかしたらライヴの印象から入った人たちからは「ちょっと怖い人たちなのかな」「人を寄せつけないようなイメージがある」って思われているかもしれないですけど、実際の僕たちの人柄はそんなことなくて。結構ふざけていたりします(笑)。

──例えば対立する要素AとBがあるとして、本来の自分たちはAだけどBにも挑戦しているという感覚なのか、AもBも元々自分たちが持っていたものだという感覚なのか、どちらに近いですか?
けんじろう:その2択で言うと、両方あるかもしれないです。クレナズムは最初はアンダー・グラウンド寄りのオルタナティヴな楽曲が多かったんですけど、年月が経つにつれて「いろいろな曲をやりたい」という気持ちが強くなっていったんですよ。元々メンバー4人のルーツがバラバラなので、「それぞれのルーツをもっと出していきたいね」というふうになっていって。だからバンドでいろいろなことをやるとなっても、あんまり抵抗がなかったんです。
しゅうた:僕らみんな作曲ができるので、例えば「今回は○○さんの作った曲をレコーディングします」「Aタイプの曲です」となったら、その時はみんなで全力でAをやるし、逆に「今度は××さんの曲」「Bタイプです」となったら今度は全力でBをやるんですよ。
──自分のターンが来たらより自分の趣味を出せるからそれでOK、みたいな?
しゅうた:そうです。そういう関係性でやってきているんですよね。
