ハイレゾで”聴く”日本アニメ(ーター)見本市――注目のTeddyLoid x daokoコラボなどを含むサントラ第1弾4作品を、高音質独占配信
3. ME!ME!ME!

第3話「ME!ME!ME!」音楽シリーズ(TeddyLoid)
>>映像のご視聴はこちら : http://animatorexpo.com/mememe
企画・原案・監督 : 吉崎響
キャラクター・作画監督 : 井関修一
女の子がいっぱい襲ってきます。
TeddyLoid x daoko x スタジオカラーが贈るアニメーション・ミュージック・ビデオ。
INTERVIEW
☆Taku Takahashiらとアニメ『パンティ&ストッキングwithガーターベルト』のサントラをとともに手がけるなど、アニソンからフロア・バンガーなバリバリのEDMまでさまざまなフィールドで活躍するDJ / プロデューサー、TeddyLoid。フィーチャリングには、つい先ごろメジャー・デビューが発表されたばかりの女子高生ラッパー、daoko。この二人によるエレクトロ・トラックを、スタジオカラーの井関修一、そしてこれまでに『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の一部や、クラムボンのMV「KANADE DANCE」などを手がけ、VJとしても活躍していた吉崎響らによってアニメーション・ミュジック・ビデオとしてプレゼン。その音楽とともにサイケでエロティック、少々過激な映像表現は中毒者続出。海外からも大量のアクセスがっ!
吉崎響 : 即座にTeddyさんにお願いをしました

――今回監督たっての希望でTeddyLoidさんの起用ということですが。
吉崎響(以下、吉崎) : 渋谷〈WOMB〉で行われた「REPUBLIC vol.7 映像作家100人2011 リリースパーティー」(2011年5月14日に開催)にて、TeddyLoidさんのDJと僕のVJでコラボレーションしたのが出会いでした。そのときに初めてTeddyさんの曲を聴いたのですが、聴いた印象だけでは、海外のアーティストだと思い込んでいました(笑)。その後も「BLACK MOON RISING」という15分にわたる曲のデモを聴かせていただき、Teddyさん独特のインパクトのある音作り、構成、旋律がとても好みで、海外でヒットする方だと確信していたのもあって。この時からTeddyさんの曲でミュージック・ビデオを作りたいと思っていました。プロデューサーの緒方さんから「日本アニメ(ーター)見本市」のお話をいただいたときは「きた!」と思い、即座にTeddyさんにお願いをしました。 そして、今回とても大事な役割を担ってくださったdaokoさんは紹介をしていただき、今回初めてご一緒したのですが、曲を聴いてみて歌声とリリックが明らかにdaokoさんであるという存在感とインパクトを感じたので、おふたりとも自分の作りたい作品にピッタリと合うと思ったのと、世界で活躍する次世代の日本人アーティストと感じたことがお願いした大きな理由でした。
――音楽との表現という部分でとくにここを気にかけたという部分があれば教えてください
吉崎 : 音楽と映像がシンクロしている表現とインパクトを重視していました。 今回は通常のMVと違い、僕が作りたい映像作品のストーリーや構成をたたき台にTeddyさん、daokoさんとコラボレーションをさせて貰ったのですが、Teddyさんのどことなく哀愁が隠れているような心に響く旋律、流れるような気持ち良いトラックと、daokoさんのウィスパーなのに辛辣なリリックとインパクトを殺さずに、作品のストーリー性を盛り込んで貰うよう何度もやり取りをし、曲を作って貰いました。 Teddyさんの音楽は多彩な演出が曲のあちらこちらに盛り込まれていて、daokoさんのリリックには個としての人間の思いが篭っていて、制作が進むにつれ僕もインスピレーションを受け、映像の構成や処理を変更するなど、とても刺激的で、特に今回は型にはまらない日本製であること、国を問わず受け入れられるものを作りたいと思っていたので、とても良いコラボレーションができたと思っています。
――現在公開されている見本市の作品で、他の作品で音気になった作品はありますか?
吉崎 : 「西荻窪駅徒歩20分2LDK敷礼2ヶ月ペット不可」のSotte Bosseさんの「中央線」ですかね。Sotte Bosseさんは何度もお仕事させてもらっているのですが、canaさんの歌声の透明感とSotte Bosseならではの空気感が素晴らしかったです。また現在製作中の、第二期で配信予定の作品「Kanón」での黒滝さんの音楽。独創性と世界観がすばらしいです!
TeddyLoid : エロさに負けないカッコよさを追求しました

TeddyLoid : 自分の「BLACK MOON RISING」という曲があるんですが、その曲を吉崎監督が気に入って下さって、「こんな感じの物が作りたい!」とご相談を頂きました。その曲は15分を超えるノンストップの組曲の様なトラックです。そのアイデアが今回の「ME!ME!ME!」の原型になったとも言えますね。「BLACK MOON RISING」は、僕の1stアルバムにも収録されていますので、そちらもぜひ聴いて頂きたいです。 その後、デモを元に「ここはこういう音色が欲しくて、こういうSEが欲しい」と、吉崎監督から映像に伴ったイメージやリクエストを頂いて、一緒に作り上げていく楽しさがありました。
――daokoさんを起用したのは?
TeddyLoid : まず、『心に残る声』だなと思っていました。一度耳にしたら忘れられない存在感というか中毒性というか…。テクニカル面でも、ラップから歌までヴォーカル表現が豊かなアーティストなので、今回の様にいろんな場面がある曲でも彼女のレンジならヴォーカリストはひとりでも面白いのではと、お声掛けさせて頂きました。
――歌詞に関してはどのようにして作ったんでしょうか?
TeddyLoid : 制作をはじめてすぐ、デモ・トラックを作ってdaokoさんに送ったら、ひと晩で歌詞と仮歌が乗せられた音源が返信されてきたんです。凄くエキサイトしました! 間違いなくクリエイティヴな人だと確信できたので、歌詞はすべてdaokoさんにお任せすることに決めました。daokoさんの歌詞の世界観は「ME!ME!ME!」にぴったりだと予感していましたが、期待以上でした。

TeddyLoid : 「ME!ME!ME!」のコンセプトが過激だったので、僕もそれに負けないような過激な音楽を作ろうと思いました。エロさに負けないカッコよさを追求しました(笑)。
――短編アニメの劇伴という限定された表現を行ってみておもしろかった部分は?
TeddyLoid : とにかくアニメと音楽のシンクロ率が凄くて、それはVJとして活動されていた吉崎監督経験もあるならではだと思いました。吉崎さんはとてもクラブ・ミュージックに精通されているので、共通言語も多くスムースでした。 特に最後の音楽戦艦が出てくるシーンには完成した時に感動してしまいました。 それを見た瞬間、苦労は消えましたね。苦労よりも楽しみが勝るお仕事でした。
――ある意味で過激な作品にできあがりましたが、「ME!ME!ME!」のご感想を!
TeddyLoid : 吉崎監督、井関さん、daokoさんという良い意味で本当にオタクでマニアックなメンバーだから成し得た作品だと思っています。僕も自分のオタク度を発揮できたかと思っています(笑)。新しさと伝統を両立しつつ、ハイクウォリティ。スタジオカラーさんと、こんなエッジが効いたお仕事をご一緒出来て、とても興奮しています。海外からのリアクションも凄いです! 観て下さった世界中の方々に感謝しています。短編ではもったいないので、いつか続編やコンプリート版が作りたいです……(笑)。
――今回の作業でなにかご自身で音楽を作る上で新たな面白みみたいなものを見つけた部分はありますか?
TeddyLoid : 今回は今までの僕の作品には無かった要素を入れようとあらかじめ意識していました。それは中盤のピアノとビートだけのヒップホップ・パート(pt.2)です。あまりBPMの遅い曲は発表していないので。daokoさんの叙情的な歌詞とパフォーマンスもあって、良いシーンが作れたと思っています。

TeddyLoid : 初めてサウンドトラックに強い関心を持ったのは、映画『バトル・ロワイアル』です。衝撃的でした。天野正道さんの指揮、ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団の演奏による「Requiem Dies Irae」の狂気に満ち溢れた演奏は未だに忘れられません。最近だと、映画『インターステラー』のサウンドトラックです。Hans Zimmerが手掛けており、まるで宇宙空間にいるかのような錯覚を起こさせる音像です。国内アニメだと、菅野よう子さん、川井憲次さんが手掛けるサントラは大好きで、いつも注目しています。
――現在、見本市で公開されている他の作品で気になる作品があればあげてください。
TeddyLoid : 『POWER PLANT No.33』はコンセプトがとても面白かったです。スチーム・パンク感もあって大好きですね。エレキマグマのグラフィックもすばらしい!『evangelion:Another Impact(Confidential)』は、圧巻の一言。エンディング曲も鳥肌が経ちましたね。巨大なスクリーンで観てみたいです。『ヤマデロイド』は是非いつかリミックスさせて頂きたいですね、ロイド仲間としては。今後公開される作品も楽しみにしています!
4. Carnage

第4話『Carnage』BGMシリーズ(星野純一)
>>映像のご視聴はこちら : http://animatorexpo.com/thedragondentist
監督・キャラクター・デザイン : 本間晃
後に残るは死体のみ―――。
凄惨な過去を背負った片腕の女。
隻眼の男への復讐を果たすべく
荒野を血に染めていく…
INTERVIEW
西部劇を舞台にした映画『トゥルー・グリッド』を彷彿とさせる、隻腕の女性ガンマンによる復讐を描く『Carnage』。これまでに『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』、ジブリ映画『思い出のマーニー』、テレビ・アニメ『BLACK LAGOON』などの原画をてがける本間晃。そして音楽をてがけるのはGReeeeNや平原綾香、ベッキー♪♯、Every Little ThingといったJ-ポップの作曲編曲なども手がけるプロデューサー、星野純一。その音楽は、悪しき過去、そして復讐劇、そして迫る来る”死”を描く、そのアニメに寄り添い、世界観をさらなる確実なものとしている。
本間晃 : 星野さんは勘が良いなと

――音楽に、星野純一氏を起用した経緯を教えてください。
本間晃(以下、本間) : 誰にしようか迷っていたところ、音楽制作の島居(キングレコード)さんから提案があったので、過去に手がけた楽曲を聴かせてもらい、印象が良かったので星野さんにお願いしました。
――テーマを含めて、今回の作品にて、気にかけた部分は?
本間 : 西部劇風の内容だったため、過去の映画のサウンドトラックを参考として聴いてもらいつつ、テーマと関連のあるキリスト教的なモチーフも織り込んだ楽曲をお願いしました。ニュアンスが微妙なこともあり、何度もやり直してもらったりと星野さんにはご苦労をおかけしてしまったが、ジョン・ミルトンの『失楽園』を読んでもらうようなことにはならずに済み、星野さんは勘が良いなと思いました。
編集注 : ジョン・ミルトン『失楽園』:17世紀のイギリスの詩人、ミルトンによる旧約聖書『創世記』を題材にした一大叙情詩。ダンテ『神曲』などともに、キリスト教文学の代表とも言われ、また当時の政治状況(清教徒革命)などからの影響も踏まえてピューリタン文学とも。その外側からは、キリスト教的価値観の根底にあるものやモチーフの、その参照先としてある種の古典でもある。
――見本市作日の他作品で音楽との表現という部分で気になった作品はありますか?
本間 : 『ME!ME!ME!』は監督の(吉崎)響さんがVJであることもあり、映像と音楽のシンクロが独特のトランス感を思い起こさせます。
星野純一 : 色彩が与える影響は大きい

星野純一(以下、星野) : 音楽プロデューサー・作編曲家・Sound Kitchen Inc.代表(www.soundkst.com) の星野純一です。
――今回監督から音楽に関するディレクションは?
星野 : マカロニ・ウェスタン、オドロオドロしさ、というお題をいただきました。
――それ以外の部分、監督さんからのディレクション以外で、ご自身で留意したポイントやコンセプトとして持った部分はありますか?
星野 : 音楽で、映像だけでは表現しきれない心象風景を伝えること。
――いわゆる西部劇的な作品ですが、そのあたり過去の作品を意識したような部分があったんでしょうか?
星野 : 個人的には特にないです(笑)。監督のイメージに添えるように、映画を数作見ました。
――短編アニメというわりとさまざまな限定的な要素がある劇伴というところで面白かった部分、または苦労した部分はありますか?
星野 : ニコニコ生放送の特別番組に出演した際にもお話ししたのですが、(制作中に)白黒の絵コンテに色が入った瞬間に、作品のイメージがガラッと変わったこと。凄く印象に残っています。あとは、昼の荒野をイメージしていたのが実は終始夜だったという衝撃(笑)。監督の意図が理解できた瞬間でした。

星野 : 「色彩が与える影響は大きい」ということです。
――できあがった作品のご感想をおきかせください。
星野 : 率直な第一印象は、メタファーの塊。繰り返し見ることで、新たな発見がある作品だと思います。
――もし、他のサウンドトラックで好きな音源があればあげてください。その理由も含めて。
星野 : マイケルナイマン『ガタカ』。サントラも好きですが、この映画が大好きです。DVDも持っていて、もう、10回以上は観ています。あとは、エンニオモリコーネの『ニュー・シネマ・パラダイス』。スケールが上がって下がるだけで「こんなに美しい旋律になるんだ!」という驚き。スケールは最高のメロディーだということを再認識させられます。
――現在公開されている見本市の他の作品で気になる作品があれば教えてください。
星野 : どの作品にも非常に興味があります。なかなか全作品は見る事が出来ていないのですが、時間が出来たら全部じっくり観たいと思っています。