2013/07/05 00:00

2013/7/3~7/9の注目2作品をレビュー!!

今週もたくさんの新譜が入荷しました! 全部は聴いていられない! そんなあなたのために、このコーナーでは、OTOTOY編集部がオススメする今週の推薦盤を2~3枚ピックアップし、ライターによるレビューとともにご紹介いたします。 音源を試聴しながらレビューを読んで、ゆったりとした時間をおたのしみください。あなたとすてきな音楽の出会いがありますよう。

eparg『lparg』


eparg / lparg
【配信形式】
mp3、wav

【価格】
mp3 単曲 160円 / アルバム 1,500円
wav 単曲 200円 / アルバム 1,800円

2008年、突如マモル以外のメンバーが脱退を発表し、新メンバーを迎え再始動を遂げたnhhmbase。今年の6月5日にリリースされた、約5年ぶりとなる傑作アルバム『3 1/2』はもう聴いただろうか。複雑にねじれた構成でありながらポップなその楽曲で、広大なシーンにおいても唯一無二の存在感を放っている。そのフロントマンであり、全曲の作詞・作曲を務めるマモルが、2011年にソロ音源をリリースしていたことをご存知だろうか?

ソロ名義は“eparg(イパーグ)”。2011年といえば、ネハンの活動休止期間まっただなか。ネハンのファンの方々、活動休止期間にぽっかり空いた心の穴は、この作品を聴けばきれいに埋まるはずだ。驚くべきは、その制作方法。なんとiOSアプリのみを使って、全曲がつくられたというのだ。使用されたアプリは、最大で5音しか発音しないというもの。しかしこの1枚を聴くと、物足りなさなどまったく感じない。すくない音だからこそ、緻密に音を組み立てて制作されるマモル独自の楽曲を存分に堪能できる。

心地よく聴き流せてしまうキャッチーさを持ちながらも、その構成に耳をすませば、一音一音が考え込まれて組み立てられていて、まるでパズルのようになっているのがわかる。コンパクトな曲が多いのだが多様なエッセンスが詰め込まれていて、同じアプリでつくられたといえども、それぞれに違った色を持っている。マモルの才能が遺憾なく発揮されているこのアルバム。nhhmbaseとは違った一面に触れ、ますますマモルの動きから目が離せなくなる。(text by 岩瀬知菜美)

今井祐岐 田井泰弘『あなたと夜とボサノヴァと』


今井祐岐 田井泰弘/ あなたと夜とボサノヴァと
【配信形式】
DSD 5.6MHz+mp3、HQD (24bit/48kHzのwav)

【価格】
DSD 5.6MHz+mp3 まとめ購入のみ 1,600円
HQD まとめ購入のみ 1,600円

滋賀でTAI MUSIC WORKSHOPという音楽教室を営みながら制作活動も続ける今井祐岐と田井泰弘がおくる「あなたと夜とボサノヴァと」。OTOTOYからDSD、HQDの高音質で配信される。

前回TAI MUSIC WORKSHOPからリリースされた、今井祐岐率いるYUKI BRASIL PROJECTのDSD音源とは異なり、今回はギターとピアノというシンプルな構成だ。それによって生まれた音と音の隙間に余韻が響き、高音質ならではの繊細さで私たちをやさしく包みこむ。

音源とともに送られた言葉「~あなたが夢をみるために あなたが星をみつけるために あなたと夜とボサノヴァと~」のとおり、ボサノヴァの創世者のひとり、アントニオ・カルロス・ジョビンの曲を中心としたロマンチックな曲が集まった。また、ボサノヴァは、音だけではなく、対訳などを自分で行って歌詞をたのしんでいる人も多いので、音とともに歌詞を読み、その世界に浸ってもらうのもいいのではないだろうか。真昼のうだるような暑さとは一転、涼しげな風がそよぐ夏の夜にゆっくりと心を休めて浸ってほしい、安らぎの1枚だ。(text by 梶山 春菜子)

Chris Coco『FREEDOM STREET & REMIXES』


Chris Coco / FREEDOM STREET & REMIXES
【配信形式】
mp3、wav

【価格】
mp3 単曲 150円 / アルバム 1,500円
wav 単曲 200円 / アルバム 2,400円

今年も猛暑が予想されている。そんな季節に聴いてほしいアルバムがここにある。UKチルアウト・シーンを代表するDJクリス・ココが自身のレーベルであるMelodica Recordings からリリースしたアルバム『FREEDOM STREET』だ。言葉の通りあなたを“チルアウト”、つまり冷やしてしまうような夏にぴったりの1枚になっている。

ジャジーな雰囲気漂う魅惑なサウンドの「A1」や、四つ打ちに女性ヴォーカルを乗せてくどさの無い、突き抜ける爽快感を感じさせる「A2」、壮大な情景を思い浮かべる重厚なダブ・サウンドの「B5」。クリス・ココらしい透過性をそのままに多彩なヴォーカルと演奏を織り交ぜた全9曲はそれぞれまったく違う風となり、暑さと焦燥感を吹き飛ばしてくれるだろう。 そして何より、1枚通して溶け込んでくるような心地よさを与えてくれるのと同時に、いつでも一歩を踏み出せるグルーヴ感を持ち合わせている。聴いている人が溶けてしまわないクリス・ココならではのバランスの良さを味わってほしい。

もう一度言うが今年も猛暑。でも、そんな猛暑もこの1枚とともに過ごしてみたらきっと楽しくなるはずだ。(text by 佐藤光太)

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